book and bread mania

-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

SFラブコメは面白い

 

ヒロインがいきなり二つに分かれて分身、アイデンティティは同じながらも彼氏の有り無しのみが違う。

SFラブコメといった珍しいジャンルの漫画で、この二つは相性が良くて面白い。

今回はヒロインが二人に分裂するというSF設定。

これが面白いなと感じるのは同じキャラクターが二人いることによりIFの世界、つまりは時間ループ物のように異なった世界を見ることができるからであると思う。

けれど時間ループと違い、この場合の方が面白いとする点は、現存する時間に二人が居ることにより、リアルタイムで分身した人物、その双方の異なった世界を同時に見られる点にあると思う。

もし対象の人物が一人だったら、この場でこうする。過去に戻れたとしたら過去を改変して、あの場でああする。

つまり事象aと事象bがあるとして、過去に行けたとしても当事者が一人ならば、それら一つずつでしか観測が出来ない。

けれど二人同じ者が居れば。同時に二つの事象を観測する事ができる。

その多様性ある世界観とラブコメの融合。

ヒロインが二人というラブコメ自体は珍しくないが、全く同じ人物のヒロインが二人というラブコメは珍しいのでは?

ヒロインは二人。普通ならば性格や外見が違って、どちらを選ぶか?なんていう様を楽しむものだけれど、これはまったく同じ二人がヒロイン。

じゃあどうやって二人から選ぶ?双子じゃなくて分身で、まったく同じ身なのに?

その顛末が面白く、人間、同じもの二つから選択をするために用いる基準、感情はこういったものなのか‥と考えさせられる。

 

作品としては 全4巻というが実にちょうど良いボリューム。

サラサラと読めて中だるみもないのがとても好印象。

そして絵が上手いので詠み易い。

SFラブコメというちょっと珍しいジャンルながらも、絵の上手さにより違和感もなく読み進められる。

ブコメ部分はずばり王道。手軽にサクッと読めて楽しめるので、恋愛沙汰で長編過ぎる作品や、恋愛部分のしがらみ、がんじがらめ、三角四角関係と、どっろどろの恋愛事情模写に辟易している人にも、このシンプルさはおすすめ。

昨今、奇抜な終わり方を目指すマンガも多い中、綺麗な終わり方であったといえる今作は、SFながらも万人受けする作品だと思う。映画化して受けそうな作品でもある。