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book and bread mania

-日々読んだ本の書評 + メモ集 + パンについて-

純潔のマリアがとても面白かった件

本(コミック)

 

純潔のマリア コミック 1-3巻セット (アフタヌーン)

純潔のマリア コミック 1-3巻セット (アフタヌーン)

 

 もやしもんがとても好きだったので、作者つながりで読んでみた作品。

予備知識&予備情報まったくなしで集め、「全3巻なので打ち切り?」とさえ思えたので、それほど期待はせずに通読。

 

‥するとこれが期待値を遥かに凌駕して面白かった!

内容的には安易かつ簡潔に述べると、魔女のマリアが世界平和を願って戦争を止めようと孤軍奮闘する話。

しかし事はそう単純に上手くはいかず、様々な障害が生じる。

戦争を一人の手で終わらせようとするなんて、エゴ以外の何物でもないかもしれない。

 マリアは自分がやっている事は正しいと信じて行動するが、戦争を止める行為を神によって咎められてしまう。

 

1巻、2巻とまあこんな感じで進行していったが、3巻目最終巻による収束具合が凄まじい。ここからちょっとネタばれ。

 

途中ではマリアが死んで終わるバットエンドなのかと心配したがそれも杞憂に終わり、そこから繰り広げられた群像劇、簡易に言ってラブストーリーだが、それはとてもシンプルであり大胆直球、けれどそのストレートさにマリア同様、打ち抜かれた心地。

プロポーズのシーンは秀逸で、それに答えるマリアの反応も微笑ましい。

銃が花になったのにシーンには笑い、ルパンがクラリスに手品で花を出して渡すシーン同様、突如として登場する花の演出は何故こうも心を朗らかにするんだろうか。

 

そして「幸せそのものを知らないんじゃ他人を幸せにはできない。まずは自分自身が幸せに包まれないとね」という台詞、至極名言であると思う。

 

助けようとした対象からいとも容易く裏切られる状況、感情、絶望感、失望感、それらの描き方が秀逸で、それすらも複線にするのは流石。あと神に説教を垂れるシーンは注目で、しかしその語る内容に説得力あるよう感じるのも複線。最後の最後、マリアがミカエルの真理に気付くのは、ミステリー小説ばりの展開で、ミカエルの心境を理解すればこそのこれまでの行動。これまでの言動に合点がつき、すべてが上手く収束していくことを見て生じるカタルシス。感動もできる最後であり、希望も溢れる終わり方。これは現代の「幸せとは?」と悩む迷い人に対して答えを投じる、救いの物語。その答えは「42」のように深遠で意味深なものでなく、実はとても身近にあり誰にでも掴むチャンスがあるもの。それを教えてくれる親切な漫画。オススメできる。さすがもやしもんの作者!と思わせる内容と展開であり、その独特で個性ある画風も好み。

 

よってかなりどストライクな作品であり、想定外に心へと響いた作品。名作と言って過言でないと思う。全三巻と読みやすい長さながらも内容は密で充実、手元に残しておきたく、集めてよかったと思える漫画だった。あともやしもんと同様、偽人化キャラが可愛い。もやしもんによって菌へ愛着が沸くように、フクロウ、鳩がより愛おしく見えるようになる作品。