book and bread mania

-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

VIRONのパンとバゲット食べ比べ

念願の『VIRON 渋谷店』にも行くことができ、無事にパンを購入。

  

f:id:murabito07:20120101010126j:plain

まずコンプレドゥミ。

丸っこく愛らしいフォルム。1個は139g。

綺麗にクープが入っており、そして高さのあるパン。

クラムは密で、気泡はあまり見られず。

 食べてみると、クラストもさっとしていて、クラムも似た食感。

生地の茶色さに背かず全粒粉の味が濃い。

麦茶吹き付けた、いや、麦茶に浸しでじっくり一晩、そのぐらい麦の風味がしみこんだ味わいで、噛めば噛むほどに濃厚。

見た目どおり個性ある味のパンで、その個性は見た目だけでなく味の面でも大いに発揮。雑味、とも呼べるほど全粒粉の風味は濃くて苦味さえも少々感じたほど。

それほどに味は濃いながらも悪くなく、豊かな味わいが楽しめ同時に美味しい。

とても濃い味のパンであるのは間違いなく、そして大人向けの味。

大人でも食べ慣れていなければ、少し驚くであろう味の濃厚さ。

 

  

そしてついにレトロドールを入手!

f:id:murabito07:20120101000325j:plain

実にようやくであり、特注フランス産の粉、硬水による妙技をようやく味わえる!

綺麗な見栄え。美しい上に美味この上なしの才色兼備。

 

f:id:murabito07:20120101000312j:plain

 丸々1本だとなかなか巨大であり、1本の重さは269g!

 

 

f:id:murabito07:20120101000706j:plain

クラムは見事な気泡の大小具合で、外見のみならず中までもが美しい。

とても期待しながら、ついに食べてみた。

生地は‥とても硬い!かったくて歯応え十分。老人の歯を崩すほどには硬い。

クラストがあまりパリッとしないのは時間経過が故に仕方なく、それでも多少はパリッ感が存在し、そしてクラムのモチモチ具合は類を見ないほどに強烈!

もうホントにモッチモチ。赤ちゃんの肌かと思うほど弾力性に富み、そして生地の引きが大変に強くて随分とても、かなり甚大に、噛み締められる生地!

しっかりとした歯と顎がなければ、噛み締められぬほどの強靭さを持つ生地であり、噛み締める必要あるが、噛み締めれば噛み締めるだけ味が出てくる仕様。そこには芳醇な麦の味。美味しい!!

まさに「食べるのに疲れるパン」であり、食べるという行為のみで幾分かカロリー消費するのでは?とさえ思えるパン。

味としては濃厚芳醇。何が?と問われれば「小麦の味」とではなく「パンの味」と答えるであろうその味。それは小麦のみが齎す”小麦の味”以外にも、この食感、風味、それら全て合わさり協力して作り出す複合的な”パンの味”だからだ。

まさにバゲットにおける一つの完成形であり、ここまで歯応えあるバゲットは類を見ない。噛めば噛むほど美味しくなるパンとしては理想的な歯応えと食感。”パン”という物の奥深さを表現する逸品。

うまい、おいしい、味に関して賞賛の言葉は数あれど、これに掛けるのではどれもが陳腐に聞こえてしまう。 超絶美人に「美人だね!」と言っても無意味のように、このバゲットに「美味いね!」と言っても無味無臭。なぜならそれはもう既成事実として存在しているからであり、確認作業など必要なく、その手間は不要。

このレトロドールは袋から取り出すだけでもう芳醇な香りが漂ったので驚愕。

 

ということで、VIRONのレトロドールは期待通りの逸品。

そこで、ここは是非とも食べ比べ!

ということで今回、ジュエル・ロブションにも寄りバゲットを購入。

それがこれ。

f:id:murabito07:20120101003042j:plain

フェルマンタシオン ラント。ハーフカットで132g。

北海道産小麦を微量の酵母を使って常温で長時間熟成させ、小麦本来の甘味・旨みを追求したスペシャリテ

とのことで、これにも期待できる。

 

f:id:murabito07:20120101003307j:plain

内装の気泡は、こちらも負けず劣らずの美しいデコボコ模様。大小様々あって、大きい気泡が一際美しい。ただし生地自体は、見た目的には縦にあまり膨らんでおらず、少しぺちゃんとした姿。尤も、それがより唯一的な天然酵母らしさを感じさせる。

いざ食べてみると、これまた生地は硬い!

レトロドールに負けず劣らずなのは見た目の気泡のみならず、食感もまた然り。

こちらもクラスト、クラム共に硬く十分に噛み締める必要がある。けれどそうして噛み締めると、レトロドールと全然違う味わいで思わず驚き、そしてあまりの味の違いに笑ってしまったほど!w

レトロドールは古風な粉の主張が強く、つまり風味がとても芳醇。濃い味。

それに対してこの フェルマンタシオン ラント、これが国産小麦の特徴なのか噛み締めると、とても甘い。これが尖った甘さではなく、いわゆる「やさしい甘さ」。

砂糖添加なしの飲むヨーグルトのような、淡く甘い味わい。スッキリとした甘味とも言おうか、とにかく全くしつこくない、くどくない甘味で、これが新鮮であり斬新であって類を見ない味のバゲット!

乳酸菌の甘さ?とにかくここまで甘味を引きずらせず後味スッキリ、穂のかな甘味を芳醇に持つバゲットを食べるなんて事は、当然初めてで、とても美味しい!

これはレトロドールと甲乙つけ難い出来であり、予想に反し、いや、予想以上にこの

フェルマンタシオン ラントというバゲットも美味しい!

どちらも店を代表する一品、スペシャリテだけありそ職人の心意気を感じるバゲット。負けず劣らずどちらもかなり美味い。

どちらも生地の食感はベストで、どちらの方が好きかというのは味の好みによって分かれると思う。

自然の風味、小麦の芳醇な香りと風味を存分に楽しみたいならレトロドール、

自然本来の優しい甘味、それと同時に来る旨味、噛み締めるごとにそれらが押し寄せ、噛めば噛むほどに甘味が出てきて美味いバゲット、それがフェルマンタシオン ラント。

どちらも驚嘆するほど大変美味なる物ながら、どちらにも共通して言えること。

それは”丈夫な歯と顎が必要”ということだ。

この味ならば、米派さえもパン党に移させることが出来るな、とさえ思えるほどに両方のバゲットはクオリティが高い。

よって、食べ比べてみた結果このレトロドールとフェルマンタシオン ラントは引き分け。どちらも美味しいことには間違いなく、そしてここまで味わい深いバゲットは初めて。それをいきなり2個も同時に食べるとは!

あと、VIRONのパンはフランス式を強く意識しているのか、焼き色強めなのが目立って印象的。

 

結論、今回食べたバゲットは二つともとても美味。

VIRONにしろロブションにしろ凄いパン屋。ただどちらのパンも比較的高価なのが唯一ネックなところかな。

それでも東京に住んでいる人はVIRONのレトロドール、ロブションのフェルマンタシオン ラントと、美味いバゲットを手軽に食べられて羨ましい限り