book and bread mania

-日々読んだ本の書評 + メモ集 + パンについて-

アニメ暗殺教室が完結したのでその感想など

 

 アニメ視聴。漫画未読。

故に、アニメにおける感想。

 

 

終盤のバトルなどは多少、展開を急いだ感は否めなかった。

けれど全編を通して殺センセーの生徒を諭す発言には説得力があり、名言実に多し。

印象的なのは殺センセーによる、生徒への無条件の受容といった姿勢であり、まるで心理カウンセラー。

自信を伸ばし成長を助長すると言うのは古今東西、唱えられてきたことであり、まるでアドラー心理学の実践例。

とんでもない展開が繰り広げながらも、「絶対無敵的に殺せない相手を、どう殺すか?」というパズル的難問は見ている側を楽しませ、身体的能力差を知能でカバーしようとする点は多くの作品で見受けられるが、この作品の特徴としては、身体的能力も知能指数も、暗殺対象である殺センセーの方が上という点。

だから、これが普通のバトル物であるならば明確な実力差ゆえあっという間に決着はつき、味気ないものになるが、この作品の第二の特徴は次にある。

それは互いが単純な敵対関係ではなく、”教師と生徒”という関係である事であり、そして教師が生徒を殺そうとはしない点。

あくまで生徒側が先生を狙い、その逆は存在しない。

先生側、殺センセーは教育を施すことのみを目的とし、、至って普通といえる教師と生徒の関係性が殺センセー側にはある。

特徴三つ目は、”暗殺”を通して教育を施すという点。

そこから身体的に鍛え上げるのはもちろん、暗殺するための応用的な知識も身に着けさせる。

暗記的な詰め込み教育ではなく、学んだ事を如何に生かすか?

 

おそらく、この作品が啓蒙的な意味合いを見せ、人気があるのは

「これを学んで何になる?」

と学生が口々にする答えの一端を、この作品は示している点にはあるだと思う。

例えそれが”暗殺”とういう、日常からかけ離れた事象を対象としたものであろうと、少なくともその概念は学生にとって、幾何学による日常生活での応用や、アボガドロ定数をテスト用紙以外に活用する方法よりかは、身近に感じるはずだ。

この

「学んだ事を活かせる!」

を示す作品内の縮図は、無機質に行なう勉強に有意性を見せ、そこに一種のカタルシス的な開放があるのだと思う。

囚人にとって一番の苦行は、意味も無くただ穴を掘り、掘った穴を埋め、同じところまた掘り返すこと。

つまりは意味の見出せない、無意味な行動こそが人間を無気力に落とし入れ、活力を奪う。勉強に意味を見出せず、嫌々行うのでは同様に意味を見出せない”勉強”に辟易するのも当然で、しかしそれは穴を掘って埋めるのとは違う。

勉強には当然、有意義な意味があるのだが、生憎、学校では重要なその”有意義な意味”を教えない。

尤も、その”有意義な意味”とは万人によって異なり、だから一概には何も言えず、教えようがない事象。つまりは皆が「ケーキ大好き!」というわけではない。

故に、勉強に対する”有意義な意味”を教える事は疎かになり、「いい大学に行くため」や「いい会社に就職するため」など、不透明な目的を持って勉強に勤しむ事になる。

 

そんな折、この作品『暗殺教室』は、勉強する上で何より重要な事である”学ぶ楽しさ”を提示してくれる。

 

 

知識はただ頭に詰め込んでいても意味がない。

それはまるで老人の巨額な貯金のようなもので、知識も紙幣同様、使わなければその存在意義はない。

けれど、誰もが貯蓄する老人のように、お金のうまい使い方を知らずに居る。

だれもが”知識”を授けようとも、”知識の使い方”までは伝授してくれないからだ。

この作品は読み方によっては、様々な事を読み取れる。

それは情緒的なことを含め、学ぶことの意味、賢くなるとはどのようなことか?そういった一種の実例を見せてくれる。例え目的が暗殺であろうと、見つけようとすれば暗殺をしようと行動する事から得られることは大いにある。

 物事を得るには、得ようとすることが大切、と当たり前のことを当たり前に、丁寧に教えてくれる絵本のような群像劇。

しかし絵本から得られる物と言うのは、いつの時代においても、想像以上にあるもの。

 

 

殺せんせーは「E組の制度は間違ってるから変えさせよう」とか
そういう事は一度も言わなかった

「理不尽な事が世の中にあるのは当たり前。それを恨んだり諦めているヒマがあったら…
 

楽しんで理不尽と戦おう」

 

その方法をいくつも教えてくれた 

 

最後の 回想にある印象的な名言。

理不尽に立ち向かうのには知識のみならず、英知も必要だと生徒の成長を通じ教えてくれる殺センセー。

”暗殺”という禍々しい 名のつくタイトルだが、内容を思えば、それは人生の有限性を示したしたものであり、”暗殺”を此処まで比重おかしく描いた作品も珍しい。

学生のみならず大人が観ても得られる啓蒙は多く、老若男女にオススメできる作品だった。タイトルの印象が与えるミスリード感も異常!

あと作品の締め方がとても秀逸に感じたのが印象的。稀に見る、良い終わり方だった。