『ミスミソウ』は園子温監督が映画化しそうな漫画!
ハイスコアガール作者による作品であり、ネットで多少話題となった本作。
この作者さんの作品が好きなので読んでみた。
感想としては、えぐい。
まるでバトルロワイヤルのような内容。グロテスクなシーン満載!
胸糞悪い展開、どれをとっても眩く鋭利に光り、人の内部に混在する刃物を見せつける。ヒステリー、嫉妬、狂気、ねたみ、恨みなど、人のあらゆる僻みの感情を晒す漫画で救いのない物語。
一概に絶賛すれば語弊を生むであろう作品は、それのみによっても評価されていると言って過言じゃない。
熱量ある漫画で読み応えあり、一気に引き込まれた。
絵に迫力もあって、屑と屑との鬩ぎ合いは、息詰まる攻防を見せ付ける。
よく使われる言い回しのように、眩しいものに集まりたがるというのはよくいったもので、目立つ存在はその存在のみでファルマコン、毒にも薬にもなるのだと示す。
そして田舎の過疎地の陰険さを描いているのも特徴的で、これを単に笑い飛ばせず、妙なリアリティ感じさせるのは、こうした暗黙の了解の存在を誰もがうちに黙認しているからであろうと思う。
そこらのホラー映画よりもよっぽど恐怖感を得たのは、それが生きている人間の所業であり、そして誰もが内に秘める事の可能性を示唆するからではないかと。
悲壮感も充実、見ごたえたっぷり。絶望好きには好まれそうな漫画。
話題となったのも納得の内容で、昨今のいじめの現状を思えば素直に笑えない。
しかし、こうした異例の状態、いじめという事態による負の感情が指数関数的に増加しこのような惨状を作り出すわけがない、等とは完全に言いきれない辺りが問題提起されると言うのであれば、その提起する状態こそがすでに問題あるようにも思える。
あと、いじめられていた過去を持つ教師も印象的で、自己保全のためにとる行動は人間らしく、立場にそぐわぬほどに利己的。そして幼稚。そうでありながら、多少なりとも葛藤する姿は人本来の弱さを見せつけ真摯に迫るものがある。
この作品は胸糞悪い内容ながらも一読の価値は十分にあると言え、誰しもが持つであろうコンプレックスや自己保全的意識、欲求不満、万能性意識の欠落などの、精神的不安定さを爆発させた子供による過剰な自己表現を示す内容は、一読して自分の内面と向き合うのことの重要を思わせる。
反面教師的な作品であるのは間違いなく、コンプレックスの克服は大事!そう教えてくれる、少々ハードな内容の倫理教科書的漫画作品。