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book and bread mania

-日々読んだ本の書評 + メモ集 + パンについて-

10月に読んだ本からのおすすめトップ10

ランキング

 10月に読み終えた本は37冊。

その中からおすすめの10冊を紹介!

 

 

第10位

 『マンガは哲学する

マンガは哲学する (講談社プラスアルファ文庫)

マンガは哲学する (講談社プラスアルファ文庫)

 

 内容はほぼ書評と言って過言でない。しかし紹介されている漫画が素晴らしく、これほどの哲学的かつSF漫画があったのか!と感嘆してしまったほど。

なので紹介されていた漫画に大変興味が沸き、ぜひとも機会があれば入手しよう!となる作品多数。

この本自体の内容としては、著者の哲学視点は正直偏りが随分とあって、おそらくそれを自覚して記述していると思うので、分かり難くありそして個人的真理を述べている点などは少々目立った。例えば、火の鳥の対しての視察、一人の殺人に対してそれが大量殺人を防ぐのならば許される。では、暴君の殺人を企てた主人公に対し「同様の罰だ」と言って罪を与えた火の鳥は間違っている。と述べるが、これは狭義的な意見であり、暴君を殺したからといって大量殺人を防ぐという因果にはならず。暴君が生き延び他の戦争をした結果、それは暴君が死亡したあとに起こる戦争が、殺した暴君の起こす戦争よりも犠牲者が多い、という可能性があるからだ。

また、著者は度々「分離、もしくは過去、未来から来た<私>は<私>なのだろうか?」と問うが、その際に「その<私>は少なくとも今ここの<私>ではない」という結論を読者に混乱させつつ示す。然し正直、それは当り前であって分かり易く例えると、ほぼ同じ配列、固体である一卵性の双子を「自分か?」と問うに等しい。

当然、それは自分でないし、言い切れば他人だ。難解さを示すのが哲学ではない。哲学書と言うのは、理解している事を如何に分かり易く示すのかも重要。故に難解である概念を噛み砕かずいる本書は、もうすこし柔らかい表現を用いても良いのでは?と思えた。

彎曲気味の表現は著者自身が把握し切れていないからであり、それでも鋭い洞察には溢れ、漫画と言う表現媒体の奥深さを改めて教えてくれる一冊。興味深いものであった。

 

 

第9位

 『道化師の蝶』

道化師の蝶

道化師の蝶

 

 円城塔の作品!摩訶不思議さは相変わらずで、SF”少し不思議”ならず、”多大に不思議”といった印象も相変わらず。

本作『道化師の蝶』は賞を取った作品らしく、視点がころころ入れ替わるのが印象的。さらにタイムリープ的な概念も入り組まれており、内容は複雑怪異。

故に芥川賞らしさを思わせた。中盤における言葉遊び的トートロジーや、文字や文章、言葉の構造に対する疑問符は興味深く、共感持てる箇所もありヴィドゲンシュタインさも感じさせた。

本書は二作から成り立ち、二本目は『松ノ枝の記』。

こちらは比較的平坦な内容で理解し易く、『道化師の蝶』と比べれば多少なりともアブストラクト的でないと言える。然しこの『松ノ枝の記』は設定が面白く、“翻訳した作品を翻訳し返す”というアイデアにはやられた!と思うほどにユーモラスで、その着眼点に驚いた。なので内容的にも全般にわたってユーモラス、なかなか楽しめた。翻訳した作品が別作品のようになり、それを原作者が再び翻訳し直して原本のプラスアルファになるのは滑稽。いいユーモアアイデアから始まり、そこから摩訶不思議な感覚になっていくのも然りであり、然しこれはそこまで深遠でなくそれでも表現の巧みさは筆舌しがたいほどに巧みであり豊富。

どちらも摩訶不思議ながら諧謔さも併せ持つ怪作だった。

 

 

第8位

『SF宝石』

SF宝石

SF宝石

 

 SF宝石 - book and bread mania

まあまあ面白かった。

然し当たりはずれが激しい印象。

 

 

第7位

『経験と教育』

経験と教育 (講談社学術文庫)

経験と教育 (講談社学術文庫)

 

 湾曲したような表現が多く、訳すのも大変だったのでは?と思わせる文体。然し読み込めば意味も把握でき、思わず「なるほど!」と唸ってしまったほど。

とにかく、内容としては教育論について綴ったものであり、旧式的な先代の教えをそのまま詰め込む式の教育と、それに反旗を翻しての前衛的な教育方式に対する是非を問う内容。

そしてこれを読むと、どちらが良いとも悪いとも一方的には言えないのだとわかる内容であり、それぞれのメリットとデメリットを、分かり難いながらも鮮明に解説している。

旧式の教育スタイルでは、経験則に不足。つまり、いかなる時代のいかなる場所のいかなる生徒にも同様の教育を施しているのが最大の問題であり、条件によってそぐわない場合を考慮しない石頭なところがクソだと訴えている。

対して前衛的な教育は、それが前衛的であるが故に、旧式に比べ教育理念や教育哲学が定まっておらず、つまり宙ぶらり状態。暗闇の先頭を歩く教師が松明持たずに進んでいるようなもので、自分と同様、生徒も路頭に迷わす可能性あるぞと脅して伝える。

あとは重要なのが『経験』。経験則こそが教育にとって重要であり、故に、将来に繋がる経験を憶えさせ同時に意識させるようにできるよう、教育と経験を十二分に与えられる者こそ教師になるべきだ、と辛辣に訴える。

昨今の日本でも言われると同様、教育において大事なのは、あくまで勉強を己で持続させる鋭気を養わせる事であり、それ以上でもそれ以下でもない。自分ひとりで継続して行なう勉強に対してのやる気を育む事ができず、むしろ衰退させるような事があっては本末転倒。そのような教育は大失敗であり、教育者としては失格とのレッテルを貼られるだろう。これまた辛辣である。

後半は一次元的と二次元的な向き合い方について述べていたり、あとは経験から派生する思考能力形成のための示唆などが述べられている。なるほど確かに教育哲学としてはなかなか立派で、完璧に理解すれば教育に関して有意義には思えた。

 

 

第6位

郵便配達は二度ベルを鳴らす

郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)

郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)

 

 ディーン・R. クーンツによる『ベストセラー小説の書き方』にて紹介されており、気になったので購入した本書。

 内容としてはページ数も文字数もそこまで多くなく、語り口調の軽い文体も相まっていわば海外版ラノベのような印象を抱いた。とても読み易く、すいすいと話は進んでいき、しかし簡易な文章での巧みな模写は見事な手腕であり、難解な状況や心境をさも簡単に描く事にはまさにプロの仕事を思わせた。

話としては至極単純。突然にして偶然に出会った男女が惹かれ合い、それで女の主人を殺そうと共謀する。ごく端的なストーリー、古今東西どこにでもあるような話。

然しその普遍的で実にシンプルな物語への肉付けがなかなか複雑。犯罪を実行するシーンなどは緊迫感あり、短い合間に読み応えあり。最終的に○○ような形となって、そこにはどんでん返し。まるでデスノートのような心理戦と頭脳戦が秘密裏に行なわれ、最後には見事な顛末。やりとりが明かされるところではしっかりとカタルシス浄化があり、スッキリすると同時に関心。

そして、最も見事だと賞賛すべき点は、この感心させられた見事な結果までの内容は、長ったらしい文章を付随させず、ごく簡潔に纏め上げているという点!故に、この作品が映画向きでありそういった点ではパーフェクトに近い出来!と絶賛されていた理由も多少なりとも理解。短いながらも綺麗にまとめ切られた作品であり、この簡潔こそが売りであり特徴的。

あとは簡潔ながらも情緒を示す文体が流暢であり、適切。ここでも蛇足的表現が少なく、読み易さの一環を担いながらも、深く噛み締める如く浸透するその情緒模写。まるで詩のようでもあり、流体を思わせるその表現力は深く潤っていた。

ジェットコースター的演出!驚愕なのは最後まで物語は広がりをみせ、どんでん返しの連続にハラハラというよりかは、何度もハッとさせられた心地、エンタメ作品としては確かに一級品で、面白い!というよりは、すごいまとまった作品!と思うであろう良い作品だった。

 

 

第5位

『ソロモンの指環』

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

 

著名な一冊であり、ようやく読んだ。

その内容としては、エッセイ調であって想像以上に読み易く、内容としても想像以上に面白くて驚いた!

読めば分かる、ごく身近に居る動物の如何に人間らしいことか!

こんな風にのみ意見を述べれば著者が憤慨するであろうとは容易に想像できるが、それでもこれほどに動物は人情豊かであるのだとこの本を読んで知り、思わず興奮したほど!

コクマルカラスは人に懐き、そして一夫一妻をとり、夫婦としての日常を描いた視察は感心と驚愕。カラスは賢いと知ってはいたが、これほどまでに人間社会同様の制度を構築しているとは露知らず。あと、カラスの離婚や略奪愛の報告も凄く興味深く、嫉妬や引越しなどまでも人間と同様の心境を思わせ、すごいなとその類似性に思う。

あと宝石魚についての記述も好奇心を刺激され、宝石魚も種類によっては夫婦で子育てに専念するというのは意外で、そして知性を存分に見せる行動にも驚愕。正直、魚にはあまり知能はないと思い込んでいたため、このような記述は従来の価値観を崩され、また世界の認識の一端が新しく構築されたような心地に。

特に宝石魚が子供に対する愛情を持ち、行動をするという点には多少なりとも感動を憶えてほど。餌と子どもを口に含んだ際、葛藤を示しその後にはちゃんと子供を一端吐き出し、餌を食べてから再び子供を口に含んで巣まで連れ戻す。愛情溢れる行動は、人間的情動を用いた行動か、もしくは単なる機械的本能に従った行動か。だがこのような複雑な状況においては、やはり個人的意思によって行なった行動に思え、ファイニングニモのような情緒豊かな魚も案外フィクションでないと思わせた!

そして最終章の動物における暴力性と抑制についての内容は特に興味深く、示唆に溢れた展開。人間の上っ面な先入観はことごとく的外れなのだと教えられ、さらにそれは著者の経験談による意見のみでなく遺伝学的要素を合わせての意見なので幾分も説得力があり感嘆した。ウサギなどの草食動物はおとなしく、逆に狼など肉食は凶暴。然し実際の喧嘩を見るとその結果は反対で、ウサギの方が凶暴に喧嘩。狼では相手に致命傷を与えるような事はしない。それは致命傷を与えられるからこその行為であり結果。

故に、現存している狼はそう淘汰された種なのだ、とするのは大いに納得。そして狼や犬などは喧嘩に負け服従すると相手に急所を見せ付け差し出す、というのは大変に興味深く、勝利した方も急所を目の前にし、噛みたいけれど決して噛むことはできない、というはとても興味をそそられる行動!それは自身に対する防衛反応でもあり、噛みたくとも噛むことのできない、そういった状態を脳が作る事によって繁栄に成功、故に先祖の遺伝を引き継ぎ噛む事はできない。まさに合理的な解釈。特に注目に値するのは、このような行動が人間においても行なわれているということだ!人も敗者となって服従する際には急所を相手の目の前に出す。お辞儀などもそうした行為の一例で、急所を自ら相手の前に呈す事で、相手に信頼を示すと同時、攻撃できないという事を思わせているのだ!

そう考えると、お辞儀などもある意味では攻撃的な行為と呼べる。

全体的に面白おかしく、動物がとても愛おしくなる内容。まごうことなき名書だった!

 

 

第4位

自虐の詩

自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

 

 自虐の詩 - book and bread mania

凄い漫画だなと思った作品。

人間の真理を描くのに、剣も魔法も必要ないのだと示す作品。

 

 

第3位

『知的生活』

知的生活 (1979年)

知的生活 (1979年)

 

多少なりとも感銘を受けて記事に書いた一冊。

知的生活 - book and bread mania

本書は哲学的な人生の教科書であり、教えを請える内容、まるで良き師のように語り掛けてくれる内容。知的生活とはと憂い悩む人々に一筋の光を差し込むであろう良書!

自己啓発的ながらもその内容は親切であり親身であり、良い先生の如く処世術を提示してくれる本!

 

 

第2位

『だからすれ違う、女心と男脳』

だからすれ違う、女心と男脳

だからすれ違う、女心と男脳

 

記事にもした一冊。

 だからすれ違う、女心と男脳 - book and bread mania

 人はなぜ生きるのか?

その答えをなんでもない調子で述べるスゴ本。

余り知られていない本ほど、こうしたことがさも平然に書かれいるので驚く。一種の真理は単純かつ複雑。

 

 

第1位

『放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ

 

 偏狂な天才数学者の生涯を綴った本。

正直、この本を読む前ではエルデシュなる人物を知らなかった。然し内容は俄然として面白く、その面白さに気づけば貪るように読み入ってしまったほど!

SF(至高なファシスト)やボス、神老などといった造語も面白く、この人物の事が読み終える頃には自然と随分好きになっていること間違いなし。決して常識人でなく狂人の様だが、尊敬し愛すべき狂人でであり変人だった。人生の変わった生き方の一つを示してくれる、とてもいい本!

また、不死になる方法も述べており、ハッとさせられた。