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book and bread mania

-日々読んだ本の書評 + メモ集 + パンについて-

ちーちゃんはちょっと足りない

 

 阿部共実さんの作品は好きなので、これ以外の作品も読んだ上で先ず思ったことは、随分と控えめで優等生な作品だな、ということ。

 

内容のテーマとしては、端的に言って”トップダウン型とボトムアップ型の思考では、どちらが幸せに思えるか?”といったもの。

それを俗的に綴った内容。賞を取ったというのは万人向けに描いたゆえに思え、共感させる箇所を多めに盛り込んだ結果。

けれど後半、前半でのライトな布石が功を奏しては、その積み上げた物を”ばあん!”と豪快に引っくり返す展開、流石と思わせる。それでも著者の作品としてはインパクト抑え目。多少なりとも万人向けの内容に思えては、そこで賞の獲得も納得。

 

幸せとは?について問う内容であって、そこに貧富の差やスクールカースト制の概念を混ぜ込み、さらに純粋無垢な少女を出しては引き合い立たせ、善悪の間引き役を担わせる。つまりこの作品は誰しもが持つ、抑制された自我と、抑制されぬ自我との葛藤を描いた心理学的漫画であり、例えるならばよくある歴史漫画の如く、フロイト提唱のエス、自我、超自我を描いた作品あって、主軸の登場人物三人をこれに当てはめ読めば、なるほどと合点がつき易い。

心理学要素と幸福論的な内容を盛り込んだ彩り豊かな作品。

 あとは先入観の植え付けがずるく、巧い作品。