またも異性物SF作品を読む。
1巻完結の漫画でありながら、がっつりSFの本作。
内容としては、主人公の女子高生が街中で異性人の襲撃を受けて気がつけば見知らぬ建物に一人ぼっち。そこに見知らぬ男が居ての二人になっては、他の生存者を探す…。
この後、感想として少々展開を示唆して書くので、「これから読むぞ!」と言う人は見ない方がいいかも。
端的に言ってこの作品、
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ*1
を呈す内容。
地球において、生態ピラミッドの頂点に人間が居るのは偶然に過ぎず、そういった過信はすぐさま覆るなどとする演出は寄生獣を思わせ、人類を容易に凌駕する宇宙生命体が居ようと、その生命体すら軽がる凌駕する生命体は存在するぞ!とするのは”幼年期の終わり”よろしくオーバーロードを思わせてはニヤリとさせられる。
人間が思い描くであろう異性物が登場する物語で、多少なりとも人間よりなのは、人間が書いたSF作品だから!とトートロジー的説明で済ませてしまえそうな作品ではあった。
如何にも人情的な終盤には、まあまあいいな、と思えたもののハードSF好き読者には物足りないかも…と思わせた。
然し雰囲気や世界観は良かったので、一読する価値はあるのでは。
少なくとも、こういった肯定的感想はサンクコスト的意見ではないと此処で提言。
つまり、読んで無駄と思わず済むであろう魅力ある作品!ということだ。