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book and bread mania

-日々読んだ本の書評 + メモ集 + パンについて-

死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(2)

 

 

1巻も読んだ上で、2巻の方が内容が濃く感じてはこちらがお勧め。

どちらも短編集なので、どこからでも気にせず読める内容。

然しその短編はどれもがまた随分と個性的であり、そして同時に普遍的!

 

この作者の凄い点は、一見してエキセントリックな作品に見えながらも、実はそれ自体、奇を衒ったものでなく、物事の本質に潜む普遍的要素を、さも当然な事として描く点!

物事に潜む本来ある思想、それをまるで事象から血と共に抉り取っては描き出す。そのグロテクスさと神秘性の融合であり、双方によるコントラストの描き方が実にシンプルであり、これが出来ているのが凄い!

 

表現が難しい事を、難しく表現する事が出来る人は多々存在する。

しかしこれがもし、簡易的に表現せよ!と言われ、出来る人間は多くない。

そんな折、この漫画では形容しがたい根源原理のような概念を、つまり数式でいまだ捉えきれぬ”美”に関する概念や、人が感情を抱く理由についてなどの思想を簡易的に描き出し、そこに説得力を持たせる表現は実に見事!

表現が難しい事を、簡易的に表現できる。

それこそ一種の天才であり、本書を読めばその意味もわかるはず。

 

繊細な心情を綴る様にして描く様は作者の内面を見せ付けるようでもあり、これほど作者自身の思いを投射し尽くしている漫画作品も稀であると思う。

まさに”文学”と賞してよいほどに心の格好やら葛藤が描かれており、明暗迷路に迷い込ませようとする世界観。

なるほど“集合的無意識”とはこのような感覚か!と知らしめる様な作品。

読んで脳内に見出させるのは機知というより、存知なことを再認識させる啓蒙的な内容。

うっすらよぎる気持ち悪さはむしろ心地良く、凄い作品に感じながらもそれは情緒的であり、ノスタルジー的な作品に慈しみを得る。

 

傑作というよりかは、復習的な作品かもしれない。

備わる普遍性でありモヤッとする人間としての意識、それを思い出させては再認識、再インストール、復習させる漫画であり、不思議かつ魅力ある作品だ。