歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: マーク・ブキャナン,Mark Buchanan,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 文庫
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なかなか複雑な内容。
だが面白い。
「べき乗則」とは物事の臨界状態から生ずる結果における、統計的規則。
カオスという概念は、単純な物事が複雑である事を教え、
臨界状態という概念は、複雑な物事が単純な振る舞いで成り立っていることを教える。
統計的法則である「べき乗則」は、地震や災害を“いつ起こるか?”を、
明確に示す事はできない。
けれど、“なぜ起こるか?”
ということならば明確に示す事ができる。
一見してカオス的、ランダム的な物事であっても見方を変え、フラクタル的観点から検証すると、そこにはある一定の規則性が見出される。
そこで思うのは、
この二つの近似性。
これは、脳の神経細胞と宇宙の画像を比べたもの。
一見して似通っており、この近似性を思えば、
もしかすると人の脳の神経細胞と宇宙は、
構造こそ違えど、そこには共通の規則性があるのかも。
とするとここにも「べき法則」を当てはめられるかもしれない。
そうして思えば、脳の細胞と宇宙、実は共通の単純な規則性があって、将来、この「べき法則」の発展によって、宇宙の謎が解ける日がくるかもしれない。
あと、この「べき法則」は様々なところで見ることができ、地震の頻度や火事の発生率、株の動きにまで応用が出来るもの。
この「べき法則」、物語などの製作分野においても活躍が期待でき、大ヒットの要因こそ明確に分からずとも、”なぜ大ヒット作が生まれたか?”は解明できるはず。
エンタメ方面での活躍も、期待したいところだ。
複雑である物事は、実際には実に単純。
そんなことを述べる内容に対して思う印象、複雑な内容だな。
相反する意見は、それこそカオスなのかもしれない。
そこにまた単純性を見出し…。
メビウスの輪だけれど、その輪を逸脱させてくれる物こそ、
トーマス・クーンが言うところの「革命」なんだと思う。