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book and bread mania

-日々読んだ本の書評 + メモ集 + パンについて-

2月に読んだ本からおすすめ10

ランキング

2月に読み終えた本は32冊。

その中からおすすめの10冊を紹介!

 

第10位。

『パン屋のおやじは考える』

パン屋のおやじは考える (1978年)

パン屋のおやじは考える (1978年)

 

著者がパン屋の社長ということで、手に取ってみた一冊。

内容としてはコラム的であり、随筆的でもある。

パン関連の記述としては、シュタインメッツ粉に対する解説などは実に有益で、シュタインメッツ粉にいち早く注目し、使用し始めただけの事はあるなと思わせる内容。

シュタインメッツ粉の栄養について細かく分析し、述べている点だけでも資料的価値はある。

他にも、シュタインメッツは品種ではなく、ドイツ人学者の名前であり、彼が生み出した粉であることを知れたり等の雑学も混在。

そして、麦自体の栄養素に関する解説も細かく、成る程と勉強になる。

製パン関係の知識のほかには、一般層向けに綴られた内容が大半を占め、そこでは簡易的に栄養学についてを述べている。

つまりそれは本書の出版当時の社会情勢を覗わせ、高度成長期に伴い、過疎化する農村を憂い、インスタント食品が蔓延り始めた家庭環境に警告を鳴らすもの。

インスタントに依存する食事がただ栄養的に劣るのではなく、心的な悪影響もしくは病気の因子になる可能性を示し、また、人間を含め生物は食物からできているのだと改めて告げるものであり、生活環境の充実化に関しては食を重点に置くよう説得する。

家庭での食卓においてしっかりしたものを出さないのに、給食にはけちをつけるとは何事か、との主張は尤もであり、微かに笑ってしまいそうになったほど。

本書は食に対する概念や価値観、また農村や田畑に対する情念も綴っていたのが印象的。

あと気になったのは、世界一の朝食として紹介するノルウェーの『オスロの朝食』。

クネッケという無イーストのクラッカーのようなパンを添え、あとはバリエーション豊富なおかずを提供。栄養バランスがとても素晴らしいとのことで、食べてみたくなるほどの魅力は感じた。

 

 

第9位。

『ビゴさんのフランスパン物語』

ビゴさんのフランスパン物語

ビゴさんのフランスパン物語

 

日本において、本場フランスのパンを普及させた第一人者と言って過言でない、フィリップ・ビゴ氏の半生を綴った一冊。

内容としては日本へ行くことになった経緯から、日本と本場での違い、パンに対する姿勢などが描かれ、ビゴさんの人柄がとてもよく伝わってくるといった印象。

パンのレシピもいくらか記載してあり、なかなか充実していた。

本書において、一人のパン職人が、パン職人としてのあり方を、その生き方を通して見せつける。

あくまで「本場フランスの味」を求め、なにより重視し、「人」よりも「味」を優先。故に時間を生地に合わせるので必然的に自由は減り、長時間労働になるのは当然。それを良しとしてまで焼くパンは、確かに美味しそうであり一度ビゴさんのお店のパンをぜひとも食べてみたくなる。

昨今では、自らのこだわりばかりを主張し、我ばかりを追求した結果、そこに求めるのが『味』でなくなっていることも多少見受けられ、そういった意味では、追求するものを「本場の味」としっかり定めている点が、ブレのない強みだろう。

あとオーブンの仕組みについても知ることができたり(ジュールの法則を利用しているとのこと)、製パン知識における情報も所々にあり、勉強にも。

 

 

第8位。

『バナナ剥きには最適の日々』

バナナ剥きには最適の日々

バナナ剥きには最適の日々

 

 敬愛する円城塔氏による小説。

内容としては、全9編からなる短編集。

そのどれもが期待通りに読み応えあり、然しまた随分と癖のある作品ばかりで正直合わないな、と思えた作品も。

冒頭「パラダイス行」は「ないはないはない」とする唯物論と観念論を高速加速器に衝突させるか如く真っ向対立させ、ものの存在の是非を問う内容。端的かつ安易な哲学的疑問を投げる作品であり、そこで出す題材がトンネルというのが作者らしい。

表題作「バナナ剥きには最適の日々」は、人間風の意思を持つ無人宇宙探査球によるお話。

早い話が自我らしきものを持つ人工知能の一人語り譚。内容としてはまた癖があり、彷徨う精神の行き着く先を見出そうとする話。独特と思えるのは、人間らしい癖を持つ思考であること。しかもある種、狂人染みた思考を。

「祖母の記憶」は、タイトルが一番のミスリードな作品。寝たきり老人を使ったフィルム映画というアイデアが既に奇抜で、ユーモアあふれる群像劇。その落ちも落ちきらずと言った印象、しかし当の老人ははたから落ちている。そこに引っ掛けた作品なのかもしれなく、この感想を綴る上で気づいてハッとした。ともすれば上手い話である。

「AUTOMATICA」はこれまた独特。内容としては独自の文章作成法についてを解説し綴るものであり、一種の小説指南書的内容とも読み取れる。そういう意味では貴重なのかもしれなく、しかし霞のように実態をつかみにくければ、言葉の巧みさで妙に言い包められている感はあった。然し興味深い内容ではあり、読み返したくなる内容ではあった。

「equal」は散文的であり、正直合わなかった作品。物事の視線を変えて物を語る内容で、助長に感じ正直眠くなったほど。生物から見た視線、をプロットにしたある種の実験的作品にも思え、難解と思わせるよう作った詩的な作品にも感じた。

「捧ぐ緑」は一読して直感する面白さ!ミドリムシを題材に、輪廻やら生命観を問う内容であり、独自の死相感をも語る内容。細胞分裂、単一繁殖、ではそれらは魂は何処に?知的好奇心を刺激し、“輪廻”についての思想もまた多少なりとも考えさせてくれては読み応えあり。

「Jail Over」も面白く、ユーモアに富む作品。ここでは今度、平行世界や多世界論、そして量子力学の是非を問い、それを別の角度から検証しようとする内容。登場人物は最低限であり主に会話によって物語りは進み、まるで対話劇。短い話しながらも深みのある内容。
「墓石に、と彼女は言う」はあまり合わなかった。端的に言えば、フランケンシュタインのパロディ?と思わせ、生命を作り出す科学者による狂気染みた脳内会話を聞かせる作品。

「エデン逆行」はある種、パラサイト・イヴのような作品で、生命体の帰結は統一元素に従属していく物語。
短い割に内容は深遠で、時間軸の軸をおもむろに取りはずす様な作品であり、時間の概念を混乱させては楽しめる。と同時に、一過性の時間軸の流れを断ち切るようであり、祖母が居ると同時、自分も祖母、と言う発想は面白い。そしてこれも一種の輪廻を対象とした作品であり、本書はこうしたテーマの作品が多く感じた。

読了感は宙ぶらりん、といったところ。然し特徴は存分に発揮され、ファンとしては十分楽しめた作品。本書は理系的ながら、感性で読ませる主文が「さすが!」と思わせるものだった。

 

 

第7位。

百万畳ラビリンス(上)(下)』

百万畳ラビリンス  上巻 (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス 上巻 (ヤングキングコミックス)

 

 巷でけっこう話題になるのを見かけ、気になっていた漫画。

ようやく上下巻を通して一読。

その感想としては、端的に言って「テレビゲーム的SF」。

主人公のテレビゲームへの愛がひしひしと伝わってくる内容。

展開としては、主人公二人が見知らぬ合間に宇宙人によって誘拐され、そこから脱出を試みる物語。

最初にまず意外だったのは、表紙から男女のペアかと思いこんでいたが、ごつい方が実は女性だったということ!

絵柄的には上手であり、読みやすい。無駄な線もなく簡潔ながらもそれが無駄な情報を与えず、ストーリーへと没入させて良かった。
そしてテレビゲームによくある世界観やギミックを利用し、幾分も読者へミスリードを抱かせる手腕も巧み。そうして物語の展開としては、なかなか凝っていた。最後のオチも悪くなく、ある種の方へ傾向しそうな流れを見せながらも双方に対する裏切りもなく、終わり方は秀逸であったと思う。後味の残りがいい塩梅であり、一読後も考えさせるきっかけをトカゲの尻尾の如く残していく作品。

テレビゲームの要素を組み込んだ新たな感じの物語であり、ハラハラする場面も、ドキッとする場面もありの良作。

これを原作に、アニメ映画を作っても面白そうだ。

そう思える作品。

また、社会における除け者が、適材適所と言う言葉の輝きどおりに活躍すると言った冒険譚であり、なるほどこういった物語を読むと、どうして生物の遺伝子たるものは、突然変異を生み出すのかと端的に納得させる。評価の高さも納得はついた。

 

 

第6位。

モジャ公 愛蔵版』

モジャ公 (藤子・F・不二雄大全集)

モジャ公 (藤子・F・不二雄大全集)

 

 けっこう分厚い一冊。しかしその厚さを感じさせぬほどにはあっという間に読んでしまい、面白かった。さすが藤子・F・不二雄先生!と成る作品であり、老若男女が楽しめる内容。

実にしっかりとしたSFで、大人が読んでも楽しめるブラックユーモア要素も多々あり、哲学的な概念も。

そしてテンポがものすごく良いので読み飽きず、昨今の漫画に欠落しているのはこのテンポの良さでは!?と気付かせる。

無駄のない展開と簡潔なコマ割りで、見開きでページも迫力があり余分さを感じさせない。まさに教科書のような作品。

個性的なキャラクターも健在で、あとは人間の滑稽さを描くところなども相変わらず。そして異星人を描くのが相変わらず上手であり、金銭関係の話が多めだったのが印象的。

短編集然りの、人間による人間の価値観を変えるような、独特の価値観を持つ世界を描いては面白く、そこが特徴的であって同時に啓発深い。

今に読んでも前衛的な内容であり、宇宙冒険譚としての傑作であるのは間違いない!

 

 

第5位。

眼球譚(初稿)』

眼球譚(初稿) (河出文庫)

眼球譚(初稿) (河出文庫)

 

下ネタ、グロネタ、てんこ盛り。

生と死。

顕著に感じさせるその文章。

もし、傑作や名作と呼ばれる小説と、凡作・駄作と呼ばれる小説の違いは何か、訊かれて答えるならば、

「読了後、残るものがあるか」

ということであり、本書は確実に足跡、いやそれ以上のものを残していく。

根源にある下種で汚れ淫乱な部分をこれ見よがしに晒しては、

人間が持つ本能らしき側面を覗かせる。 

本作は短めながらも内容は濃く、色々な意味で”みつ”な作品だった。

 

 

第4位。

『新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか』

新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか (ブルーバックス)

新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか (ブルーバックス)

 

 内容としては、科学と向き合うこととはどういったことか?を科学的に述べられており、ここが重要。

これを読むと『帰納』と『演繹』の真意とその手法が分かり、同時に『帰納法』が経験的、『演繹法』が論理的、とされる意味ががとても理解し易い。

次に解説する『法則の包括性』も科学にとって重要な概念であり、その例として延べられたのが特殊相対性理論。この説明では特殊相対性理論も解説。実に分かり易く、驚いたほど。
本書は科学的とは?とする、基本的な立場を学ぶ上では格好の教科書であり、本書が述べるような「裸の科学者」状態を得るためには、まさに絶好の一冊!

ページ数は少な目ながらも練られた内容で無駄はなく、想像以上の良書!とても印象的であり特徴的であるのは後半における結論で、それは前半の主張を一変して覆すもの!前半では、科学の発展それはすなわちデータの集合による帰納と演繹による循環であり、データから事実を導き出していくという内容のもの。
その主張に納得で、確かにそうする事でのみ事実としての、また客観的事実が集積され、科学としての発展があると思いがち。

それこそ著者の思う壺で、実際には違うのだと、近代科学は述べる。その全貌としては人間に認識論まで掘り下げる必要があり、人間がそれを認識できるのはあくまで人間の器官を通しての事であり、よって人間なる主観的感覚こそが客観となり、つまり自然を「裸の姿で眺める」という言葉の齟齬を炙り出す。その「裸の姿」とは主観抜きであり宗教的な妄信も抜きで向き合う姿勢のことであり、それはあくまで人間としての見かたしか取れなく、そこで挙げられるドット絵や錯視などの例により分かり易かった。

同時に、共通認識性による「唯名論」となる概念がそれで、物を見る、ということはそれを認識し理解しなければ「見えない」ことであり、つまり本当に裸の状態では、人は見ることが出来ない!ということだ。するとそこで新たな視線、そうした知識や先入観がある状態を敢えて「ゼロの状態、課の状態」に還付し、そこを基準とするのが近代科学の発展として必要不可欠。こうした新しい視点での科学の捉え方が印象的で、データの蓄積=科学の前進、とならないのが近代科学の捉え方の特徴。

そこでは包括性に変化が。新しい視点では、『事実』があってそれが基準となり、そこでは『データ2』には『事実1』が包括されない。あくまで事実として『事実2』=『データ2』が独立して存在し、それは包括されない。

今の科学は順応し馴染んでいるように思えるが、実際には無為な法則をつくり合わせているに過ぎない、という可能性もある。

こうした懐疑的視もまた、科学の発展には重要と説き、確かに随分と前にこれを読めば衝撃を受けていたと思う。
パラダイムシフトは、固定概念の覆しにより生まれる。そういった結論であり、共通認識性の疑いから始まるこうした後半の問いかけは哲学的であり、なるほど哲学が科学の発展には重要なのだと改めて思い知る。そして、宗教的な先入観は科学の発展にとって邪魔になるか?という問いには、それはむしろ逆!と言うのも印象的。宗教的の意識があればこそ、その先入観によって情熱を得ては確証する作業に没入。

人間による認識の是非を述べ、そこからの推論が見事な内容。

面白くもあり読み易く、あっという間に読んでしまった。
『科学』という事象をよりよく理解し、向き合うには実に良い一冊であった。

 

 

第3位。

『あなたに不利な証拠として』

あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ミステリ文庫)

あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 つい読み入ってしまうほどには面白い。というか、想像以上に面白くて驚いた。

特徴としては、とにかくその描写の細かさ!

繊細な心情から状況如何においてまで、描写は細かく正確であると思わせ、その情景が容易に浮かび上がって感じたほど。

つまりそこには著者自身のスキルの高さも伺えるが、同時にあるのは訳者の妙技。よって双方における技術の高さが際立ち、物語性も然ることながら、一番の特徴はやはりその緻密さ。

各短編から成る内容で、どれも一人の人間として独立した心情を豊かに描き、その人物がまるで実際に居るかのように、血肉通う人間がそこには居る。

後はアメリカでの婦警警官の実情を描いているようであり、そのリアリティさとディティールの深さに感嘆とする思い。

凶悪犯との対峙はどれも手に汗握る展開であり、風景が映像となって浮かぶほどの臨場感。愚痴る内容もリアルさがあっては、警察というものの職業見学している心地になれるほど。

個人的には終盤の、サラ編が特に面白かった。

その前の各短編も秀逸な出来栄えで面白くはあったが、最後サラ編は特に秀逸で、時間を忘れて読み耽ってしまったほど!

本書、賞を取ったとはいえ、一介の小説に過ぎない。そう思い読んだのだが、いい意味で期待を裏切られた。とてもいい文芸作品であり、芸術的でさえあった。その巧みな心理描写と生々しさは女性特有かもしれない。とにかく本書は単なる小説に終わらず、アメリカ人の生活、思想、アメリカ警察の現状、意識、それらなどを多少なりとも明るみに出し、その生身を丁寧に差し出し反芻させてくれる作品。

身体の中身を見せるのは死体のみならず。

本書も、生きた人間の中身を鋭く描き、見せ付けるようにしてくれる内容であった。

 

 

第2位。

『物理講義』

物理講義 (講談社学術文庫)

物理講義 (講談社学術文庫)

 

大学での講演を収めた一冊。

3日分に分けられ、どれもが読み応えあり。

専門用語や数式等の概念は多く登場するが、脚注が充実しており、おかげで理解を伴いながら読み進められた。

そして一番の特徴は「単純に面白い」ということに他ならない!

専門的であり多少なりとも難解さを感じさせながらも、

口述調による文体は砕けており理解し易い。

実際に講義を受けているかのような楽しさを思わせ、

知的好奇心を幾許も刺激させられる内容。

一般的に、こうした物理学に関する書物は無味無臭になりがちであるが、この本に関しては例外。
本書は、そもそも物理学とは?とする概念の解説から始まり、着眼点について、または物理的な物質の捉え方のみでなく、学術的な物質の捉え方についてまでも述べる。

そこには教科書からでは得られぬ叡智を教授し、それは物事の本質を眺めることの尊さを。そして、眺めようとする意思と姿勢の尊さを説いており、一概に数式や法則のみを覚えるのは所詮つけ刃の知識に過ぎず、それを活かす事の必要性を説く。

それは単に、「仕事と結びつけよ」ということではなく、

「事象の真髄までに好奇心を伸ばせ!」ということに他ならない。

述べられていたい格好の例がニュートンのエピソード。

彼は、はじめから父親を喪失しており、父なる神を求めた。

そこに追随する思いは、”父なる神=支配者”であり、すべてを支配する神というものがあるならば、支配されるものもなければならない。

神の存在の証明。つまり、世界における規則性の発見が彼にとっては必要であり、力学を確立させるための情熱を、彼はそこから得ていたのだ。

つまり一概にニュートンの功績を「彼が天才だったから」の一言で済ませられるわけではなく、そこには人間らしい理由が存在する。

教科書のみでニュートンを知れば、無機質な天才、と思われようが、素性を探れば、そこに居るの現代人と変わらぬ一人の人間であると分かる。

ニュートンのあるエピソード。勉強に集中しすぎていた結果、腹が減った際には卵と間違え時計を鍋に放ったという話や、猫を飼っており、猫が隣へ行くのに通路として塀に穴を開けてやり、その猫が子猫を生むと、その子猫が通るにともっと小さい穴を開けてやった。

こうした、”少し抜けてる”エピソードが、ニュートンをより親身に感じさせては、物理という存在にも親近感は自然と沸く。

そうした講義の妙技も見せては、面白く、この人は単に物理学者として優れているのではなく、話術に関しても秀でているのだと気付かせる!凄い人だ。

 本書は多少難解ながらも、それ以上の楽しさを示し、読んでいて飽きず内容は昨今に読もうと全く色褪せない。

物理の発展と歴史、宗教との関わり、量子論から学になるまでの経緯からそのあらすじまでもあり、内容は濃い。

物理学という存在を、

「面白い!」

パラダイムシフトさせるほどの影響力ある一冊!

 

 

第1位。

たったひとつの冴えたやりかた

 タイトルの秀逸さが有名な一冊。

本書は中編三つからの作品であり、表題作『たったひとつの冴えたやりかた』もそのうちの一つ。

しかし想像以上に短かったのが意外であり印象的。

それでも結末に向けての流れは淀みなく、スペースオペラ的SFから始まりホラー、サスペンス要素も含み、目を離させない展開が続き時間を忘れ読み入ってしまう。

表題名の美しさこそ作品の醍醐味といえる本作は、そのタイトルに見合う結末!

次の中編は、長年の時を経て、再開した初恋相手との情緒いざこざを含むスペースオペラ。こうしたもつれ話を上手く作れる点などは、作者の女性としての突出した感性を見せられているようであり、思わず感嘆しまう。

さらにスペースオペラとしての舞台設定も緻密で、読んでいて違和感なくその世界へと没入できた。

三つ目の作品は異星人とのファーストコンタクトを巡る物語で、正直これが一番おもしろく思えた。内容としては、意識の相違によるスケールの大きな物語

連邦側、異星人側との視線が交互に変わって進む展開は、巧みであり、とても面白かった。エンタメ作品としての要素が凝縮されており、この三つ目の作品が一番評価高いのでは?と思ったほど。しかしどの中編も面白く、一気に読んでしまったという印象。退屈さがなく、これほど一気に読ませる作品も珍しい!

とても面白かった。あと、最後の中編に関しては、異星人同士におけるコミュニケーションの難しさも描いており、この作品がいくらか『あなたの人生の物語』にも影響を与えたのでは?とつい思えてしまったほど。他には思想を磁場として提供しているというアイデアは、面白いなと思えた。

そして、この作品の特徴として、異星人の性根を描くのが上手いな、ということを感じた。

未知な生物ながらもその姿は易々とイメージでき、まるで映像で見せるように宇宙人は読者に馴染んでくる。奇抜な生物のアイデアも面白く、第三者を介入して出産する、という生態システムを示しては未知の存在を見せつける。世界観も素敵で、人を単なる一種族として扱う点も良し。
スペースオペラの良作。

あとは登場人物が多いながらも、その書き分けも巧みで読み易い。

SFの名作!

読了後の後味が濃厚。

良書を読み終えた後によくある感覚、ぼうっとして本の内容ばかりが頭から離れない感覚。本書も間違いなくそういった一冊であり、感慨深い作品であった。特に著者の執筆時の状態を考えると!