365日のパン
パン屋巡りとして、
「行ってみたいな」
と思っていたパン屋『365日』にも足を運んできた。
購入したのは「ショコラ」、「コンプレ60」、
そして看板商品の如く有名な「クロッカンショコラ」。
まずはショコラから。
見た目は小ぶりで、1個34g。
持つと意外と生地は硬めで、ハード系かと思わせる。
内層とその気泡具合。
内部にはチョコがけっこう入っている。
食べてみると、まず食感が意外!
硬めの生地かと思いきや、
クラム、クラスト共にもちもちしており、まるでポン・デ・ケージョのような歯応え!
このもちもち具合は特筆すべきで、生地からして一味違う。
生地自体の味としては、見た目どおりにチョコ風味。
練り込まれた物が何かを示すようにチョコの風味が顕著であり、
そして生地に練り込まれているのみならず、中にもチョコが所々に。
中のチョコ自体は甘過ぎず、ほんのりビター。
小ぶりで34gのみなので、ボリューム感には乏しい。
しかしこのもちもち生地は独特であり、これが国産小麦の特徴ならば、その差異は顕著に感じる。ポンデリングなど、もちもちした食感が好きな人には、お勧めできるパン。
弾力に富む生地であり、チョコ味の濃い一品。
遅れながらも、バレンタインの贈呈品に良いのでは?と思える一品。
ともすれば、小ぶりに可愛い見た目もあるので、ホワイトデーにお返しとして、職場の女性などに渡せば喜ばれそうではある。
次にコンプレ60のハーフ。
値段は170円と良心的。
ハーフカットで重量108g。
こちらは往年のハードパンよろしくカッチカチの感触。
触っただけで「あっ硬いな」とわかるほどで、
シンプルな生地具合を促すように提示する。
たまに見かける表現、”釘が打てるほど硬いパン”。
そうした表現を間違いでないと思わせぬほどには硬めで、カチカチであり、
叩けば怪我するのでは?と思うのほど。
内層。
気泡具合は、まばらで小さめ。
そして袋を開けても、流石にルヴァンのような芳醇な香りは広がらず。
食べてみると、感触そのままに硬い!
実にしっかりとした租借を強要し、歯応えはたっぷり。
ぐらついている歯でかじろうものなら、ひと噛みで歯を持っていかれそうなほどの硬さであり、歯の状態が悪ければ食べられないであろう硬さ。
しかしそれが歯応えをもたらして実によく、噛み締めては麦の味が広がり、その味としては全粒粉らしく荒々しい。
けれどルヴァン等と比べれば控えめで、思っていたほど味は強くない。
そして酸味は控えめで、前面にはあまり上らず、麦の主張が強い味。
食べ慣れぬならば、少々癖の強い味と思われそうな風味を出し、チーズとの相性がよさそうな味。
クラスト硬く、クラムも硬め。
もちもちさは乏しく、然し噛み締めるパンとしては申し分ない。
そして味わえば、国産小麦の特徴?米を噛み続けて出てくる甘みのようなものを感じては、麦芽糖?と思わせる。
噛み締め、湧き出る甘みは、国産小麦特有、もしくは自家製粉における粉の新鮮さによる影響かもしれない。
酵母は自家製レーズン種とのことで、その特徴かもしれなく、酸味少ないのが印象的で、料理にも合わせやすい味。
ともあれ、引き締った生地は食べ応えのみならず、風味も充実しており美味しい!
これで170円は安い。
最後は、有名なクロッカンショコラ。
1個49g。
一目してシュークリーム1.5個分ほどの大きさながらも、
1個のお値段290円!と高め。
然し見た目が美しく、それが特徴的であって芸術的。
よってメディアへの顔出しも多く、看板商品に思えるこの一品。
チョコがキャビアのように挟まれていて美しく、
まるで洗練されたケーキのよう!
そしてケーキと思えば、そのお値段も決して高くはない。
あと印象的なのがその形で、楕円かと思いきや違い、
若干のキノコ型。
内層。
気泡は小さく、密集しており、よく煉られていることを思わせながらも、気泡とギュッと凝縮したような膨らみ具合から、小麦含有のたんぱく質の少なさを思わせる。
そして持ってみると、想像とは裏腹に生地はしっかりしており、ソフトフランスのような硬さであり、菓子パンのように柔らかくはない。
食べていると、生地は予想に反してしっとりと柔らかい。
そして生地自体の味がまた予想外。
思いのほか上品な口当たりとその味。
生地自体、とても濃厚で、その味はまるでチョコケーキ!
一味で驚き、濃厚なチョコ味の生地に驚愕。
ここまでチョコケーキのような味わいある生地は稀有で、
深みあるチョコの味わい。ビターなのも良い感じ。
一口食べれば生地のみと思えない濃厚な味が広がり、見た目のみならず食べても感じる印象は、まるでケーキのよう!
なので中央、派手なトッピングに達せずとも濃厚な味を堪能でき、
中央のチョコにたどり着くと、また意外。
中央のキャビアのようなチョコ、とろける様な普通のチョコでなく、クランチチョコ!
よってサクサクした食感をもたらし、良い食感のアクセントに。
するとバランスは見事で、ひとつのパン、というよりひとつの料理であり、
ケーキのような完成度!
食べれば納得その価格。
ケーキと思えば普通、寧ろクオリティを思えば十分安く思えるほど。
何よりも、生地の硬すぎず柔らかすぎない食感、
ビターで甘さ控えめの上品なチョコ風味の生地、
それに合わせるトッピングのクランチチョコと、バランスがすこぶる良い。
看板商品だけあり、クオリティは予想以上。
一度は食べてみる価値のある、よく出来ているパンだった。
365日は雑誌、テレビなどでもよく紹介され、注目していたベーカリー。
地産池消を提唱して海外産に頼らず、国産小麦を積極的に使用。
そうして食べたパンの感想としては、どれもが極ていねいに作られており、
素材を際立たせるパンばかりに思えた。
評判に偽りなしでどれも美味しく、
特に「クロッカンショコラ」は大きさとその値段に「どうなのよ?」と疑問視しながらも、食べれば一変、値段以上のものと納得。
見た目のみならず、味においても洗練されていた一品だった!