book and bread mania

-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

9月に読んだ本からおすすめ10

9月に読み終えた本は33冊。

その中からおすすめを紹介!

 

 

第10位

『ハーバードの人生を変える授業2』 

ハーバードの人生を変える授業2 ~Q次の2つから生きたい人生を選びなさい~ (だいわ文庫)

ハーバードの人生を変える授業2 ~Q次の2つから生きたい人生を選びなさい~ (だいわ文庫)

 

 本書は「学ぶのではなく、実践するための書」と謳うだけあり、行動性を重視。

「さあ読んだのなら、今すぐに実行しよう!」

そんな声が聞こえてきそうな内容であり、そうした内発的影響を促す言葉と知見の数々は確かにすばらしい。

人生をより良くし、謳歌するための書としては優秀な部類に入るであろうと思えた一冊。

 

 

 

 第9位

『刺青・秘密』 

刺青・秘密 (新潮文庫)

刺青・秘密 (新潮文庫)

 

 いまさらになって谷崎の作品。

それでもこの短編集を読んでは、その鮮やかな文章と、曼荼羅模様のような正確無比かつ繊細な文体に打ちのめされた。

多くを語れば、情緒が躍りだす。

そんな躍動感と臨場感を備えた稀有な文章を今こうして、手軽に楽しめる愉悦感。

本当にいまさらながらも、読んだことがないのなら、実にお勧め。

自身の性癖チェックにもどうぞ!

 

 

 

第8位

スウェーデン式 アイデア・ブック』  

スウェーデン式 アイデア・ブック

スウェーデン式 アイデア・ブック

 

 実にシンプル。

ハウツー本の一種であると分類してよく、至極シンプルな内容。

「アイデア、アイデア、とは言うけれど…画期的なアイデアってどうやって出せばいい?」

そこには一種の法則性、というよりも方法論があり、いくつもあるそうした方法論を逸話とともに解説するので伝わりやすい。

普段とは別の見方、すなわち別角度からの発想法を伝授してくれる一冊であって、さまざまなメタ知識を授けてくれる!

 効率いい勉強方法を教わるように、アイデアの出し方も効率のいい発想の仕方がある。そうしたことを、平易にそしてわかりやすく至極シンプルに教えてくれる。

 普段とは違った見方を想起させ、また熟考させる機会を与えてくれる、という意味では、アート的な内容とも呼べる一冊。

おすすめ。

 

 

第7位

『きょうも上天気 SF短編傑作選』 

 古典的名作の数々を読み返せる一冊。

とても有名な古典作品ばかりらしいが、正直、すべて初めて読んだ。

中でも、ハルヒビューティフルドリーマー2の原型となったとされる表題作「きょうも上天気」は読めば納得。するとその前衛さと、おどろおどろしさに驚愕し、これだけのために買っても損はない一冊。

もっとも、ほかの作品もどれもが秀作ぞろいで楽しめ、古さを感じさせない作品ばかり。改めて「SF」というジャンルの可能性を教えられる、素敵な一冊。

 

 

第6位

『反構造としての笑い―破壊と再生のプログラム』 

反構造としての笑い―破壊と再生のプログラム (BOOKS IN・FORM)
 

 笑いとは?

それを構造からして解説する内容で、オムニバス式。

落語の名人による「笑いとは?」の解説は、その解説さえも面白いのだから、能弁たれるのでさえ伝統芸の如く巧みであって楽しめる。

また一番の読みどころはマーヴィン・ミンスキー氏による、笑いの構造解説。

ここでは“笑い”についてをロジカルに考察し、フロイトのケーキ問題から始まり、「AはBである、BはCである、ゆえにAはCである」といった、誤った推論へ行き着く経由を説明しながら推論における方法とその錯覚を述べていき、意味のコンテクストからフレーム化しての見方まで、心理学から言語学的な知見までをも導入しては、ユーモアの本質について詳しく解説をする。

ここだけでも読み応えは十二分にあって、理解をすれば自然と顔がにやける。

まさに知的な笑いを提供してくれる。

そんな一冊。

 

 

第5位

『武士の娘』 

武士の娘 (ちくま文庫)

武士の娘 (ちくま文庫)

 

淑女、たる言葉が廃れ始めている昨今。

日本の女性はかくも気高く美しい。

そんな情景を品性を持って描き出す。

古きよき日本、などといえば、それは懐古的な情緒の残骸に過ぎない。

けれど散りゆく桜を慮り、慈しみを抱くことのできる日本人には、

本書の告げる四季の素晴らしさや、内面に宿る揺らぎない信念が見せる灯火の美しさを感じる精神を誰もが抱いているはずだ。

 気高い日本人女性の生涯を描いたノン・フィクション作品!

日本人ならば一度は読んでみてほしいと思える一冊。

 

 

第4位

『脳には妙なクセがある』 

脳には妙なクセがある (扶桑社新書)

脳には妙なクセがある (扶桑社新書)

 

 脳科学に関するトピックスが幅広く取り上げられ、各項は短いながらもまとまり良く仕上がっている。

なかでも、その部位を刺激すると離脱や俯瞰する状態に陥る脳の部分について記述してあったり、また言語学よろしく言葉が意思や行動に先んずる、とすることを脳科学的に証明されたことなどは興味深く、驚きの結果である。

こうした身体と脳との意思的齟齬。

つまり意識して行動するのではなく、行動して意識する。

この事実に照らし合わせて「自由意志は果たして存在するのか?」などは哲学的であって読み応えあり。全体的に脳科学の知見についてバラエティに富み、匂いが記憶向上につながることや、緊張する出来事の前にその緊張する事柄を書き出すことによって、不安解消につながり成果が上がる、など日々の生活において役に立つ知識が満載!

一般に向けて平易に書いてあるおかげでずいぶんと理解も容易い。

前作の『進化しすぎた脳』と同様にとても分かりやすく、ストレスフリーで読める稀有な学術系の本。いや、まさに学術系本としてのラノベ

こう評せるほどには読みやすく、この場合の「ラノベ」は当然、褒め言葉として。

あとはイギリスのジョーク大会で一位と二位になったものを紹介していたのも印象的。

 

 

 第3位

赤目四十八瀧心中未遂』 

赤目四十八瀧心中未遂

赤目四十八瀧心中未遂

 

 ある作家が賞賛していた小説。

いわく、「ただ狭いアパートの一室で焼き鳥用の肉を串に刺し続けている男の話。そのくせに、これが面白い!」

と、こんな風なことを言っており、少々注目していた一冊。

それから入手し、実際に読んでみると、これが本当に面白いのだ。

やられたね。いっぱい食わされたよ(もちろん焼き鳥のことじゃない)。

そんな感嘆とした感想を思わず漏らしてしまう、傑作小説。

ぜひとも一読してみてほしい。

 

 

 第2位

『人生論ノート』 

人生論ノート (新潮文庫)

人生論ノート (新潮文庫)

 

 人生とはなんぞや?

それを随筆的に溜めたものを、まとめた一冊。

主張としては少々厭世的な趣もあるが、それでも人生に対してまことためになる箴言であるのは間違いない。

読めば、人生の彩が微かにも多大にも変化する。

まさにファルマコンな一冊。

一読する価値は十分にあって、それも老若男女問わず。

誰しもが、読めば人生観を変化させるであろう強力な可能性を秘めた一冊。

おすすめ。

 

 

第1位

『倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦』 

倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦 (ちくま学芸文庫)

倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦 (ちくま学芸文庫)

 

 善悪とはどこから来たの?

こうした概念を紐解く、まさにイデオロギーの解体新書!

読めば納得。

すれば、自身が見ず聞かず触らずして、縛り付けられていた鎖の姿が浮き彫りに。

この本は難解さもあって、理解を捗らせる為には前知識も必要。

 だがその価値は十分にある一冊で、ゆっくり読んで内容を理解すれば、

それは登山の如く読了後には、登頂からの絶景を拝ませてくれる!

人生に対する閉鎖感を払拭したならば、読むべき一冊。

人間というものが如何に脆く、そして依存的であるか。

それを心理学でもなければ、神経科学脳科学でもなく、

あくまで倫理、哲学の方面から解き明かした有意義な本。

読めば、世界に対し向けていた目が捉えていたであろう情景が変わる、恐ろしい本。

 これはぜひとも読んでみてほしい。