パンが好きなのでタイトルに惹かれて読むことに。
美味しいパンが好きだ。誰だってそうだろう。
しかし、パンは美味しい・不味い。それだけのものではない。
この本を読むと、パンと言うのは単に『一つの食べ物』ではない事に気付かされる。
パンとは、ある人にとっては食べ物であり、ある人にとっては生活の一部、
そして、ある人にとっては生活の全てなのである。
国、宗教、生活環境。
立場によって、これほど捉え方が異なる『パン』。
この本は『パン』の魅力を紹介するのではなく、各国の、各人々の『パン』に対する姿勢、付き合い方を紹介している本。
それほどパンに魅力がある、と言いたいわけではない。
特に、日本人にとっては、パンは一種の『嗜好品』に思われがちだ。
だが世界では違う。『パン』は挨拶の如く、生活と一部になっているから。
そういった模様を、著者は世界を旅し、その土地ならではのパン、人々と出会う。
時折混じる著者のユーモアもテンポよく、スイスイ読める。
この本を読むと、日本で売られ、日本で作られているパンと言うのは、まだまだ種類が乏しい!という事に気付かされしまう。
「日本では世界各国のパンが食べられる!」と思い込んでいたが、それは違った。
やはり世界は広い。
生活文化に根付き、美味い・不味のみでは語る事のできない魅力のあるパンが、世界にはまだ多々あるのだから。
この本を読むと、日本のパンに対する見聞の狭さを思い知らされると同時に、外国地方のパン分化にこれでもか!と興味が湧き出てくる。
パン好きにとってはオススメ本で、実際に現地へと行ってみたくなる作品。
パン放浪してみたくなる一冊だ !