ほのぼのした雰囲気を感じる作品。
パンに関係した小説を紹介してるところで見かけ、気になり購入。
読むと、舞台はサンドイッチ屋。
そしてスープ。
サンドイッチとスープから始まる人間模様。
それは出来たのスープのよう温かくもあり、優しい味は過去の思い出を喚起する。
しかしそれは冷めたスープのように、哀愁も漂わせ感じさせる。
美味しさと切なさ、混合したサンドイッチ。スープ。
味気ない。その正反対。
濃い味に感じるのは、それほど思い出があるから。
『食べ物』の味のみを味わっているんじゃない。
それは思い出も味わっているのだ。
サンドイッチとスープを通して伝わってくる人間模様。
食べるときの模写。
そこからは存分にその美味しそうに食べる姿が頭に浮かび、同時にその人物の思い描く思い出さえも、微かに浮かんでくる。
この小説を読むと、人間はただ『食べ物』を食べるのではない。
同時に、思い出、感情も一緒に頂いているのだと、感じさせ気付かせてくれる。
ほんのりとした切なさが漂う作品。
しかし全体的に漂う温かい雰囲気は秀逸。
食に関わる仕事をしている人には是非読んで欲しい作品だ。