壁
阿部公房という作家、巷ではえらく高評価されている。
そこで気になり、ちょうどブックオフにて阿部公房の本を発見。
それが『壁』。もちろん購入。
事前情報を一切いれず、無知識のまま読書。
内容的には3部構成になっており、先ず始めは『S・カルマ氏の犯罪』と言う作品。
その感想。
はっきり言って、一読ではよく分からん作品。
ストーリーはしっちゃかめっちゃかで、良く言えば幻想的、悪く言えば支離滅裂。
深い意味合い、メッセージ性などがあるのかもしれないが、この作者のことを一切知らず尚且つ、解説なしで読んだ結果がこれ。
尚且つ面白いかといわれれば、「うーん」となってしまう内容。
これは深いテーマの作品だ!と謳うのかもしれないが、あまりに分かり難いと、其れは反ってこじ付けに過ぎない。
まるで夢の中の出来事を描いたかのような作品。
SFとも呼べるが、そこまでSFしてない。
なんだか中途半端な作品に感じ、高評価なのは時代の影響もあるのでは?と思えた。
これの良さが分からない方が悪い、とインテリぶるのも良いが、真のインテリとは説明上手なもの。
作品の根源には何か元ネタ、コラ・オマージュになる物があるように思え、
それを知らねば、この作品は真に楽しめないのでは?と感じたほど。
内輪ネタ、ミームとも呼べる共通知識があってこそ楽しめる作品だとすれば、
読書中に感じた疎外感は、決して気のせいではないはず。
しかしその後の作品は幾分か分かりやすく、『バベルの塔の狸』と言う作品はユーモラスであり、それなりに感情移入もでき楽しめた。
そしてこの作品に出てくる狸、挿絵どおりのリアルな狸を思い浮かべながら読むと多少ホラーに感じる。
だが、そのタヌキ、ドラえもんのような 藤子・F・不二雄先生調のタヌキと思いながら読むとユーモラスになるので、タヌキをドラえもんと思って読むのもオススメ。