のっぽパン チョコ味
スーパーにて、静岡のご当地パンである『のっぽパン』を発見。
興味深くて購入。
さらに割引されていたので、安価にて手に入った。
”のっぽパン”というだけあり、結構な長さ。
その長さ、計るとおおよそ30cmほどもある!
中身。
フィリングのチョコは思いのほかぎっしり。
隅々まで密に入っている。
量も多く、塗られたクリームには1cm以上の厚さがあるほどだ 。
手に持った感じ、生地はソフトで意外なほど柔らかい。
見た目からして、ソフトフランス生地かと思いきや全く違う。
実に柔らかいので、端を持つと、生地が折れてしまうほど。
食べてみた。
クラストも柔らかい。クラムも柔らかい。
持った感じ同様、ふんわりと柔らかく、少ししっとりともしている。
とても柔らかく、噛まずとも飲み込めてしまえるのでは?と思えたほど。
肉に例えるならば、脂身多い高級和牛。
上質な柔らかさで、口の中に入れると、すぐにとろけてしまう。
そのような感じであり、そこまで柔らかいのだ。
嚙み応えは皆無。
嚙み応えとは相反し、懸離れた存在。
フィリングにあるチョコの味は、しっとり柔らかい生地に合せた如く、
柔らかいクリームであり、これも生地と一緒に口の中ですぐに溶けてしまう。
やさしい味のチョコ。
それは流行ったような高カカオチョコとまるで違い、決してビターさはない。
けれどそれが反って、この素朴な生地にはちょうど良い。
昔ながらで、尖った風味のない、懐かしいと言える味わいチョコだ。
硬い生地好きだが、この柔らかい生地、どこか憎めない。
何故ならそれはどこか懐かしくもあり、やさしい柔らかさだから。
まるで幼児用のパン。
それほどまでに柔らかく、また愛情を感じる柔らか。
ほんのりと甘い生地も、そういった情緒を蘇らせる。
食べるごとに、どこか幼少期に戻ったような感覚。
まるで一種のタイムマシン。それは子供の頃慣れ親しんだ駄菓子を食べる、と言った行為に通ずるものがあるかもしれない。
記憶を喚起する食べ物。
まさに食とは、単に味蕾のみで味わっているのではないと、再認識させられた一品。
パンつくりにおいて、良い材料、丁寧な生地扱い、完璧な温度管理、最高の焼き加減。
それを持ってしても、このノスタルジーさは生み出せないだろう。
まさに記憶とリンクするパン。
どこか懐かしい味わいには、底はかとない魅力が存在するのだと、気付かされたパン。
”パン”に限らず、”食・味わい”というものは、やはり一概には言えるものでなく、繊細であり奥深く、難しいものだ。