ミトコンドリアがこれほどまでに淫乱だったとは、誰が想像する!?
SFでなくBF的な作品。
主役はミトコンドリア!
そんな作品が今までにあっただろうか!?
ミトコンドリアは実は盛りのついたメスで、淫乱で飢えているのだと、誰が思うだろうか!?
すごい発想力。
ミトコンドリアが謀反を企てる話なのだが、正直、その道筋は本筋のようでわき道。
この作品での一番重要な魅力。
それは”擬人化による萌えの概念を最先端に取り入れた作品”だということ!
それも”ミトコンドリア”!
昨今ではイカを擬人化したり戦艦を擬人化した作品があるが、
”ミトコンドリア”を擬人化し、”萌え”の対象にした作品があっただろうか!
そもそも”ミトコンドリア”を擬人化しようとするアイデア自体が、そうそうあるものではない。
さらにそこへ”萌え”の要素もプラス。
1996年発表の作品にも関わらず、まさに時代の最先端をいく作品だ。
けれど最先端を行き過ぎた故、この”ミトコンドリアの擬人化萌え”を当時は未だ認識されていなかった模様。非常に残念だ。
今現在、初めて読んだ作品だが、この作品は今の世で読まれれば、この概念が広く理解されるのではないだろうか。
BF(バイオテクノジー・フィクション)+萌え要素。
今現在のラノベ業界においても旋風を巻き起こそうなこの複合ジャンル。
なぜ栄養をそれほど貰ってないのに、ミトコンドリアがそれ以上の働き(熱)を生み出せるのか?や、ミトコンドリアが蛋白質合成の全てを担うわけではないのになぜ何でもできる?、なぜ一固体上のミトコンドリアが他個体上にあるミトコンドリアにこうも容易に干渉できるのか?など、細かいところを挙げれば粗は多々あるかもしれないが、それを補って余るほどの勢いと迫力がある!!
あと模写の印象からは、AKIRAの影響を覗わせる場面が数多くあり、超能力的概念も取り入れている作品。
それでもやはり一番に驚嘆すべきは、この作品が発表されたのは1996年ということだろう!
このときから既に擬人化による萌えの可能性を捉えていたとするならば、なんという最先端な発想力!
この勢いならば、今後はバクテリオファージを擬人化した作品も出てくるのでは?と思えてしまう。
それはそれで楽しみだが。