本好きにはお勧めの漫画!
本好きには共感すること間違いなしの一冊!
読書あるある、読書家あるある、読書通ぶりたい人あるあるネタが満載で、特に読書家ぶりたい人の心理模写が秀逸。小難しそうな文学に対する偏見たっぷり、それながらも不思議と普遍的にも思えるその目線が面白い。
内容には書物からによる数多くの名言を載せており、名言集と言えるような内容の漫画でもある。
絵は簡易ながらも、それが反って台詞の注目度を際立たせていて、むしろ良い雰囲気を醸し出していた。
登場人物では、特にSF好きの神林さんは最高で、SF好きなら堪らずその一言一句に思わず笑ってしまう。
SF好きといえば堅苦しく偏見持ちで、どうしてこうも「自称SF好き!」のにわかを嫌ってしまい、SF好きは訊かれもしないのにSF小説の知識をひけらかそうとしてしまうのか。けれどその心理は他の趣味においても同様のことが言えるかもしれないが、とにかくこの漫画ではSF大好きの神林さんがSF小説の知識を説明も求められずに永延語る等と大暴走するのが楽しすぎる!
SFファンの心境をえぐるような表現には思わず笑う。
難解模写なSF小説には、途中で挫折する人も多い。
そんな折にSF好きである神林さんが言う台詞「実は私も結構な部分、よくわからないで読んでいる」は途中で挫折した人や、SF読書初心者を勇気付ける言葉であり、同時にそれはあるあるネタでもある。
「私がよくわからない時。同じ部分作者もわからないという説だ」
そういった仮説を設け、割り切りSFを読み進めるという姿勢は新たな観点でもあり、同時に目新しい。尤も、作者とて森羅万象を把握しているわけではないのだから、この仮説はある意味正しいとも言える。
そして多少難解な模写のハードSFに対して神林さんが語った読書リテラシーとしての哲学、それは至極名言。
「よくわからないままでも物語の本質を損なわずに作品全体を理解することが可能な教養のラインを見極められるかどうか」
これがSF作品を読む上で重要であると説き、SF小説好きも頷かせる名言であると思う。
本好き、特にSF小説好きにはお勧めできる内容の漫画で、SF小説好きは一読して大いに笑おう。
また、最近はSF小説に対する人気が下降気味のようなので、この本を読んでSF小説に興味を持つ人が増えれば嬉しい限りだ!