『惑星のさみだれ』は王道ながらも面白い!
ネットでの評判がとても良い本作。
その評判を知って気になり、最近ようやく全巻読み終える。
あらすじや大まかな設定は、他のサイトで嫌と言うほど語られていると思うので、ここでは気になった点を数個。
先ず簡易な感想としては、序盤はそれほどでもなく感じたものの、中盤、後半は一気に盛り上がりを見せ、面白かった!
キャラクターの作り方が上手く、個性とともに各々の魅力を描くのがとても上手い。
そして終わり方は昨今では珍しく、良い意味で漫画的!そこで思ったのは、おそらく作者はこの他にも2,3パターン結末を考えていたのではないか?ということ。
それほどに完結の仕方は○○で、別にこうした終わり方が嫌いというわけではなく、この終わり方でも十分面白かったと思えたが、その終わり方には若干違和感も。
全10巻と読み易いのも良く、無理に引き伸ばさないところなどはとても好感が持てた。
とにかく上手いなと思ったのは、主人公側の仲間には各年代の登場人物を出す事によって、読者の感情移入を促したのであろう点!
少年から中年、少女から淑女まで、用意する事によって幅広い読者を受け入れ、それにより幅広い読者の感情移入を容易に齎し作品に熱中させる!
各々の人物にはしっかり性格を付けて見せ、年代だけでなく人間性にも感情移入を促し、共感力に訴える。
敵にも個性を作って哲学的な疑問も持たせたりと、読者に共感だけでなく、疑問を投げかけて問い、登場人物と同様に考えるように仕向ける手腕。
思わず作品に引き込まれる。
故に、作品自体が受け付ける読者層が幅広く、確かに評判良いのが分かる内容。
まるで漫画としての一種の教科書、お手本のような作品だった。
心地良い読後感をもたらしてくれる作品であるのは間違いなく、しかしこれ以上はネタバレになるので書きたいことは自重。
それでも言える事としては、昨今の少年漫画以上に少年漫画らしい作品。
ある種の戦闘シーンなどでは、スポーツ漫画の如く爽やかに思えたほどで、昨今では巷に溢れる、”ただ主人公が圧倒的な強さを相手に見せつけ、倒してもたらす爽快感” とはまた別の爽快感があり、巧みな演出の賜物!
あと、所々でスムーズかつごく自然に、名言をボソッと出すのも印象的で、少年層以外にも心へ響く言葉多数、実に対象年齢の広い漫画!
なかなか面白い作品だった。