ちーちゃんはちょっと足りない
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)
- 作者: 阿部共実
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2014/05/08
- メディア: コミック
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阿部共実さんの作品は好きなので、これ以外の作品も読んだ上で先ず思ったことは、随分と控えめで優等生な作品だな、ということ。
内容のテーマとしては、端的に言って”トップダウン型とボトムアップ型の思考では、どちらが幸せに思えるか?”といったもの。
それを俗的に綴った内容。賞を取ったというのは万人向けに描いたゆえに思え、共感させる箇所を多めに盛り込んだ結果。
けれど後半、前半でのライトな布石が功を奏しては、その積み上げた物を”ばあん!”と豪快に引っくり返す展開、流石と思わせる。それでも著者の作品としてはインパクト抑え目。多少なりとも万人向けの内容に思えては、そこで賞の獲得も納得。
幸せとは?について問う内容であって、そこに貧富の差やスクールカースト制の概念を混ぜ込み、さらに純粋無垢な少女を出しては引き合い立たせ、善悪の間引き役を担わせる。つまりこの作品は誰しもが持つ、抑制された自我と、抑制されぬ自我との葛藤を描いた心理学的漫画であり、例えるならばよくある歴史漫画の如く、フロイト提唱のエス、自我、超自我を描いた作品あって、主軸の登場人物三人をこれに当てはめ読めば、なるほどと合点がつき易い。
心理学要素と幸福論的な内容を盛り込んだ彩り豊かな作品。
あとは先入観の植え付けがずるく、巧い作品。