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-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

金持ち父さんの子供はみんな天才 ― 親だからできるお金の教育

 

金持ち父さんの子供はみんな天才 ― 親だからできるお金の教育

金持ち父さんの子供はみんな天才 ― 親だからできるお金の教育

 

 

取材中に、記者の一人から「光の速度はどのくらいですか?」と質問されたアインシュタインは、次のように答えた。

「知りません。本で簡単に調べられる情報は頭の中に入れておかないんです」

 

 前置きには子供の教育についての本、と綴られているが、内容としては老若男女に勧められる。

本書は著者の体験談を中心に書いているので、読みやすいのも特徴的。

お金に関する概念を変貌させるだけの力を持ったスゴ本であるのは間違いない。

印象的な言葉もエピソードも数多く収録し、啓発的な内容にも思える。

 

また、教育という概念そのものについても従来の捕らえ方に疑問を示しては、教育educationの語源はラテン語であり、その意味は<引き出す>。つまり本来の教育とは詰め込むものではなく、いかに引き出すか。

 

知識を与え、そこから何を見出たせ、何を引き出させるか。それが重要なのであって、詰め込み方式の教育は従者を作り出すにはうってつけだが、プロレタリアの概念薄れ誰もが奴隷を嫌がる昨今においては、適さない教育システムであると著者は言う。

端的に言えば、現代の教育システムは随分と時代遅れあり、ニアミスどころか大幅なズレが生じている。顧客の要求に応えず、むしろ顧客側に責任を擦り付けるのは、広い業界を見渡しても教育現場だけだと発した著者の言葉は印象的。

そして現存の教育システムは、単に生き延びるだけのシステムに変容しているのだと説明しては、教育法は恐竜よりも厄介だと説く。

何故なら、恐竜は滅びたが、既存の教育システムは一向に滅びないからだ。それは、恐竜並みに人には脅威であるのにも関わらず。

 

教育方法、いやもっと具体的に言えば学習姿勢のより高度な選択性を与えるべきだと唱え、現存する知識をただ闇雲に押し込ませて暗記させる教育法の是非を問い、本来であるならばそこから導き出すアイデアこそが重要であり、このプロセスの重要さを害している昨今の教育制度を嘆く内容。

思わず同意し、なるほどと感嘆たる思いに馳せるのは、誰しもが得意・不得意の科目を持った経験があるからだと言えよう。

  

あとはよく見受けられる設問、「お金持ちは幸福か?」

然しこの質問も内容を少し変えれば答えに納得しやすく、

「お金持ちは自由か?」

この問いには大いに「そうだ」と答える事ができ、

つまりお金を持つことの最大のメリットとは、すなわち自由を得られるという事!

お金を持つ=選択肢の幅を持たせる事ができる

という事であり、至極当然の事ながらも、それは誰しもが自分は事故に遭わないといった盲目的信仰を持つように、当然でありながらも真摯に向き合う人は少なく、そして絵空事として向き合っている。

お金を多く持つ事が悪ではなければ、不幸なわけでもない。

そして”幸せ”自体は、一時的にも二次的にも派生する産物であり、そこに直接お金の存在は関係がない。

 

他には、“勝利の方程式”なる言葉を用いては、各々が持ちそして受け継ぐであろう倫理観や価値観を集約させた言葉として使用し、これによって人は幸福にも不幸にもなると説く。

そこで重要なのは自己認識であり、己の持つ常識や先入観、これを何の考えもなく維持し続けることの危険さを呈し、一昔前とは状況が全く異なる事を説いては、意識改革の重要性を雄弁に語る。同時に、自己認識は単に変えることが大切なのではなく、自分にあった自己認識を見つける事が大切だという。

確かに親から相続されるのは物的な遺産のみでなく、一番の遺産はその思考や意思、つまりは受け継がれてきた一族のミームであり、このミームこそが厄介者。

何故ならこれが必ずしも良い遺産とは限らないからだ!

それにもかかわらず、親からのミームは良い遺産と盲目的に過信し、負の遺産であるのになぜ気付かない!?と著者は述べ続ける。

こういった誤りの自己認識、もしくは時代錯誤になった認識を改めることこそが、貧困から抜け出すために先ず行なうべき行為。

 

あとは著者が他の本でも述べている内容、子供に好きな物をすぐに与えるのではなく、あえて間をおき、その上で「どのようにしたらそれを得られるのか?」考えさせる事によって発育する頭の働きこそ個性を見出し知能を生み出すこと、等も述べていた。

他には、モノポリーを使用して金持ちの思想を説明するというのも教育上では良いらしく、ゲームを使用して示すお金持ちとは?との教授は大人子ども問わず分かり易いはずだ。

 

昨今の学校における教育システムは従属的だ、という指摘には

「学校を卒業後、何を探す?」の問いに対して著者の狙い通り

「仕事」

と思い浮かばせてしまっては、ハッとした。

なるほど確かに従属的な思考を生み出させる教育法であり、前世紀的でありそしてこれは古代における兵士育成のシステムと根本には何ら変化のないものというその言葉の意味も納得。

 

だが全体の内容には重複する箇所も多く感じ、なので切り詰めればページ数を節約できるのでは?とも思えた。

 

後半、最初のベストセラー『金持ち父さん、貧乏父さん』で述べていた概念が幾度も登場しては、改めて“資産”と“負債”の違いを根本から理解することの重要性を提示。あとは、「金持ちになりたければ“金”に関する単語を千語は覚えなさい」と語彙を増やす事を提唱し、言葉こそ力を持つと信じているのも印象的。

そして「知能とは、物事の区別を明確にできるようになること」と述べていた。

 

 

アインシュタインの言葉により先ず初めに記したように、重要なのは既に知られていることを単に学ぶのではなく、学んだ上で新たな発想を出すこと。

 

後年、ある有名な発明家が「事実に関する知識は極めて重要だ」と言ったという話を聞いたアインシュタインは、次のように異議を唱えた。

「事実を学ぶために大学に通う必要はない。事実は本から学べる。大学での一般教養の教育の価値は、考えるように頭脳を訓練する事にある」

アインシュタインはまたこうも言っている。

「想像力は知識よりも重要だ」

 

本書を読み取り、学ぶ、という概念について、今一度考えを改めれば、それは子を持つ親に限らず、すべての人に良い結果をもたらすはずだ。

 

この本、教育本としては「子供に対して金持ちになってもらおう!」とする本でなく、「幸せかつ金持ちになってもらおう!」とする志高い我侭な本であり、素晴らしい内容の本!

本書は、お金に悩む人、教育に悩む人、または学歴に対して卑屈さや偏見を持っている人の全てにお勧めであり、言うなれば老若男女問わず、ためになる内容。

一読して損のない、すごい本だ。