日本橋タカシマヤ内にシニフィアン シニフィエがあると最近になって知る。
ならばと寄ることに。
浮き足立って行くも、値段の高さに改めて気圧された…。
すると相対的に「安い!」と思ったのは
40時間発酵バゲットとバゲット・ジャポネーズ。
それぞれ味わってみようと、ハーフカットで2本とも購入。
まずは40時間発酵バゲットのほうから。
見た目。重量は108g。
内装。
ボコボコとクレータが落ちた月面の如き、見事なすだち!!
期待して、早速食べてみた。
クラスト、クラムともに、がっちりとした強固な歯応え。
かみ締めずとも小麦の芳醇な香りが口内に広がる。
どんどん咀嚼を続けると、サッと溶けていくようであって、口溶けが良い。
パンとして、全面の色が濃いのも印象的であって特徴的。
しかし比較的シンプルな味、といった印象も。
食感はすごく良いながらも、味の面に関して言えば「料理和え向き」。
単体のみで食べ「おおっ!」と感嘆するほどにあらず。
魯山人いわく「情報で食べてはいかん」とのことで、
”40時間もの発酵させたバゲット!!”
といった情報を考慮せず、素直に申し忌憚なき意見を述べるのであれば、
「こんなもんか」
といった具合。
むしろ、過度な期待による落差による影響も否めない。
食感の硬さはハードパンのなかでも、口内に刺さるようないやらしいものでなく、
もちもちと弾力がとても強い、食感の良さを感じさせる歯応え。
ただし味に関して言えば、正直「vironのほうがうまかったなあ」という印象。
かみ締めても甘みはあまりなくて、「40時間の発酵で、糖分はすべて消化しきった!?」と思ってしまうほど。
それならば、本末転倒な気も…。
しかし間をおいて食べると、今度は結構な酸味を感じて少し驚く。
けっして嫌な感じではなく、チーズに対して感じるような、とても良い感じの酸味。
甘味は乏しいが、奥深い味と酸味、それに歯ごたえが特徴的であった。
続いては、もう一方のバゲット・ジャポネーズ。
上記の40時間バゲットとは見た目から違って、
こちらはクープが縦に一本の模様。
重量は101g。
内層。
40時間バゲットに負けず劣らず、
これまた見事な気泡であって、まるで骨粗しょう症患者の骨のよう!
こちらもフランス式らしく、全面の焼き色が濃い。
下部までしっかりと焼色がついていた。
食べてみると、食感としては40時間バゲットに似ているものの、
それよりは少しソフトな印象。
味としては、こちらのほうがさっぱりとしており、なるほど40時間のほうは長時間発酵によってのフレーバーがより濃いのだな、と思う反面、すると「確かに、その分こっちのバゲット・ジャポネーゼは噛み続けると甘みがほんのりと現れる…」といった印象を抱かせた。
そして、この繊細な甘みは単品のみで食べても深い満足感を与え、
単品で食べるならば40時間バゲットよりも、こちらがおすすめ。
生地はぎゅっとして引きが強く、噛み千切りの際にあごの力は予想以上に必要。
噛んで引っ張り、ちぎれた反動で、思わず反り返りそうになったほどで、年齢制限あっておかしくないパン。
40時間バゲットと比べると、比較的ライトな風味の一品。
総論。
単品としては、バゲットジャポネーゼのほうがおすすめ。
料理に添えるのならば、歯ごたえがより際立つ40時間バゲットのほうでもありかと。
しかし正直、ハードパンの名店が多い東京では、この二つのバゲットは店名を伏せて出せば、評価は分散しそう。 そんな印象を抱くバゲットだった。
かなり期待していた分、その期待の超過分をより強く認識。
しかし面白いのは、今回食べた二つのバゲットはかなり判り易く、
その味に違いがあったこと。
どちらも用途がしっかりと構築されているようであり、流石と思う所存。
二つとも普通においしく、そして値段的にも良心的。
ただそれでも、ほかのパン屋と比べれば少々高め。
それでも「日本最高峰!」と称されるパンを食べたければ、
御賞味することをおすすめする。