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-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!

 

細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!

細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!

 

 本とクズは似ている。

 

最初の印象で「クズだなこいつ…」というのを感じても、

内面覗えるほどに付き合うと、「案外いい奴じゃん」となることが多い。

 

けれどそんな折にも「やっぱクズだな」と思う事もある。

 

本とクズは似ている。

充実、もしくは面白そうな内容に見せておいて、しかし実際の中身は…。

 

クズの中からいいやつを見つけるのは難しい。

けれどそれは、人によって ”クズ” や ”いい” の評価基準が広く異なるから。

 

本書は、普遍的、実に基本的な洞察的観念、例えば、常識を把握しているか、偏った意見に耳を傾けていないか等、まるでネットを使用する1年生に配るべきであるかのような内容を示し、それらは情報過多社会において必然とも言える思考であり論理力。

 

理解を促す方法としては、”ファインマン・テクニック”*1や、”マインドマップ”の概念を提示し、あとは懐疑主義になれ!と説く。

 

数学的思考、と言いながらも内容的には自己啓発系ビジネス書のような内容で、

どこかでみたことのあるような記述ばかり。

 

しかしだからこそ、これら方法を知っている方には復習になり、

学生には情報と向き合う際、もしくは自分の意見を要領よくまとめたり、それを相手に伝えようとする際には、役立つであろう思考術が満載!…のようには思える。

 

ネット社会、情報過多な世間向けの内容で、本書の思考法ライフハックは情報の波を今後巧く乗りこなせれる技術を享受し、悪意ある情報と真摯な情報を見分ける術を与え、今後のネットサーフィンを捗らせてくれるだろう!

 

著者が始め、あまり読書に精通していないと述べていたが、その経験を生かしてか読書が苦手な方向けにイラストを入れたり、解説を合間に細かく挟むなどして理解の助長を演出していたのはありがたい工夫。

おかげで分かり易いものの、内容の物足りなさは否めない。

 

 

本書で述べる、重要な事とは「数学的思考力」であって、それはつまり理論立てて証明する思考の枠組、プロセスを形成することであり、そのためにどのような考えを捨て、どのような思考を用いて情報に取り組むべきか、解説。

けれど説明における例、それには経済や政治を用いた例ばかりであり、故に例には偏りを感じ、何処の読者層を狙っているか分からず、例のばらつきを見せて欲しかった。

 

著者風に述べるなら、この例の偏りこそ著者の言う “バイアス” であり、著者自身、自分の考えの偏りに気付いていないのでは?とも思える。

 

 

けれど、ここまで述べた、こういった感想が正しいのかどうか、それを見極めるぐらいの英知は授けてくれる、そんな本。