book and bread mania

-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

『ラ・ラ・ランド』を観た。

今更ながら視聴。

感想としては、非常に面白かった。

ただひとつ気になった点がある。

遠い将来、現在で言うところの”お金”という概念が消滅した後の世界では、この映画はどのように観られるようになるかということだ。

 

 

本来ならこれだけの記事にしようかと思ったけれど、いつも説明不足だと言われがちなので補足。

この映画のテーマは分かりやすく見れば、芸術家について。

自らのこだわりを捨てずに意思を通すか、それとも世間に迎合して俗的になるか。

現実的に考えれば生活するには金が要る。

金を得るためにはある程度、世間に迎合しなければならない。

自分が良いと思っているものが、世間の思う”良いもの”とは限らないからだ。

そこで葛藤が生まれる。

我を通すか、社会性に準じるか。

自分のこだわりと世間の需要が合致するなんていうことは本当に稀だ。

そこで芸術家は遜る。したくもないことをして身銭を稼ぐ。

生きていくために。

迎合しない芸術家は自分の意思を貫き通して野垂れ死ぬ。

これは前世紀の話じゃない。現実に、今の時代にもある話だ。

しかし当然ながら、芸術家は自らが表現したいものを表現できる。

ただ単にお金が入らないというだけで。

つまり芸術家は芸術家らしく生きること自体は可能なこと。

お金が必要ではなく、他人からの承認がなくてもいいのであれば、

その芸術家は芸術家として生きていくことはできる。

重要なのは、承認欲求が満たされなくても人は死なないが、金が全くなければ人は死ぬという単純な事実である。少なくとも金銭的な不自由さは死ぬ確率を格段に上がる。

だからこそ遠い将来において、現代で言うところの”お金”といった概念が消失した世界においてはどうなるか。この映画のような芸術家論、芸術家の実態がどのように変容し、価値観として据えるようになるかというのは非常に興味深く思えたりした。

 

 

 

 

以下よりネタバレなので注意!

 

 

 

本映画を見終えたときの率直な感想。

ダンサー・イン・ザ・ダークじゃねーか!!」