思想としての孤独―“視線”のパラドクス (講談社選書メチエ)
- 作者: 清水学
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
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なかなか面白かったので、お勧めできる一冊。
「孤独とは何か?」
万人が抱く持病のようなものであって、誰しもが抱えるであろうこの疑問。
それに対して、ひとつの答えを示す本書は、意欲的に”孤独”の本質へと迫っていて読み応えあり。
孤独という概念について、また人が孤独を感じる原因を心理学的のみならず、社会学からの観点からも検証し、その見えざる者の正体を暴こうと試みる。
一読すれば「なるほど、孤独とは分身による者の影響か」と合点がつくこと請け合い。
孤独とは身近にあって、それでいながらその正体を暴き切れない、まさに幽霊のような存在。しかし本書はそうした幽霊の正体について教えてくれる、まさにゴーストバスターズ的な本。
馴れ合いに違和感、人間関係に疲弊している人にこそ、読んでもらいたい一冊。
価値観の多様性、マイノリティがマジョリティに。
ネット社会によって、こうした概念が浸透してきたかのように思われていても、実際には前世紀的な人付き合いを強制され、そこから逸脱しようものなら社会的にのけ者とされる。こうした野生的であり原始的な概念が未だ蔓延るのは何故か?
そこに示す答えを知れば、多少は気が軽くなる。
同時に、孤独を抱えるのは個人のみではなくて、そこに共通する意識を知ることによって、他人はもとより人間という生き物の生態について、より知り得ることができる。
人間は高等生物といわれようが、結局は生き物であって、本能に依存する部分が未だ過多であるんだなあ、と感慨深くなること間違いなし。
群衆の中でこそ、孤独を感じるのであれば一読することに躊躇なく、
手にとってもらいたい一冊!