オニキス (ハヤカワ文庫 JA シ 8-1)
第1回ハヤカワSFコンテストの最終候補になった作品が収録された短編集。
それが表題作『オニキス』。
読んでみての感想として一言で言えば、まあまあ。
平行世界と過去改変をテーマにしており、一見してなんとまあシュタゲ的。
としてもSF要素は結構がっちりしていて「じゃあ面白いのでは?」と設定とあらすじで思うも、全体的にいかんせん中途半端。
そして展開がありきたりであったのが残念。
ただし、それなりには面白かったので、
「平行世界をテーマにした作品を初めて読む!」
という方にはおすすめ。
けれどバタフライエフェクトをはじめ、イーガンの『無限の暗殺者』など、こうした平行世界についての作品に慣れ親しんでいる場合は、物足りなさを感じるかも。
他にも短編が4つ収録されており、
なかでも『神の創造』はスタニスワフ・レムによる『第七番目の旅』 を想起させたのでちょっと印象深い。
ちなみに、今では世界的に有名なゲームであるシムシティは、このレムの短編『第七番目の旅』を元に作られた作品なんだそうで。最近知って驚いた。
話を戻すと、正直ほかの短編もまあまあ程度に感じて、それほどマッチはしなかった。
けれど、文庫本特有の最後にある解説。
そこでは本書の作品について賞賛たる言葉が連なっていたのだが、
その解説も終盤になると言葉に詰まったのか、著者の名前を唐突に褒めだしたのには思わず笑ったw
正直、本書で一番面白かったのは、ここかもしれない。