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-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

元気の達人

 

元気の達人―健康の不安にすべて答える (光文社文庫)

元気の達人―健康の不安にすべて答える (光文社文庫)

 

 

 悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思つて居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった。

冒頭から正岡子規の印象深い言葉を綴る本書は、健康に関するエッセイ集。

エッセイながらも、得られる知見や叡智は充実。

 

 そしてエッセイ調の文体は軽快で読み易く、それでいて"精力を上げる方法"*1や、”トリコモナス膣炎”なる女性特有の病気の解説などがあり、これは性行為で伝染るもので男の方にはトリコモナスが取りついても無症状。女性が”トリコモナス膣炎”になる原因は必要以上に下半身を清潔にした結果であり、もともと膣内にいるデーデルライン菌と称する乳酸菌!が常に存在し強い酸によって有害細菌の侵入を防いでいるが、このような膣の浄化作用が働かなくなるのは洗いすぎが原因。薬用石鹸などで洗うと膣内の細菌バランスが狂い、逆に病原菌のある微生物が襲い掛かってくるとのこと。

 

上記のような、思わず「ほう…」と言ってしまいそうになる薀蓄たっぷりで、中だるみなく読み進めてしまう内容。

 

また、殺伐とした人間関係に陥りやすい外科の世界において、適度な師弟関係が保たれ、和気藹々とする一つのチームがあり、著者がその雰囲気を作り出した秘訣をそのチームの教授に尋ねたところ、そこで聞かされる教授独自の”自己流集団掌握術”は成る程と思わず唸ってしまうと同時に、「この方法を取り入れれば、劣悪な人間関係に悩む職場も改善できるのでは?」と思えてしまったほど。

 

また、”結婚”という概念に対する例え話は、

 

「私は若い人たちに話しています。結婚する相手を富士山と思え、と。富士山は遠くから眺めているぶんには左右対称で雄大で美しい。しかし、近くによってみると、岩肌は荒れていて、火山岩の沢崩れも起きている。火口は無粋に大口を開けている。幻滅を感じる材料はいくらもある。結婚相手にも同じことがいえるんです。妻はいつまでもシンデレラでもなければ、夫は王子様でもないんです」

 

経験者らしい説得力があり、スピーチなどにも使えそうな逸話。

 

 

また、これを読み健康かつ長寿になるためには、ある行動が重要と知る。

それは過去において長寿を全うした人物において共通して言えることであり、

その健康長寿の秘訣とは、

睡眠!

 

何だこれかと思うほど拍子抜けするが、本書に述べられている数多の健康で長生きした人物、その解説を読むと誰もが睡眠を重要視していたのがよく分かる。

古今東西、健康かつ長生きする秘訣、結局は”十分な睡眠”が最重要なのだと知る。

そしてその睡眠というもののメカニズムが未だ解明されいないが故、現状120歳から130歳ほどまで寿命を延ばせないのではないか?とも思う。

ごく身近にありながら、睡眠ほど不思議なものはないかもしれない。 

 

最後に、本書に載せられており気に入ったフランスの諺を一つ。

 

女は、教会では聖女、町では天使、家では悪魔。

 

 

 

*1:性行為のあと、眠らず自発的に何か活動、つまり神経や精神状態の均衡を保つ習慣つくりが、ひいては精力アップへ繋がるとのこと