パンの基本
有名なパンの名書『BREAD―パンを愛する人の製パン技術理論と本格レシピ』
のごく簡易版かつ初心者向けの本と言える一冊。
だから内容はパンに関するごく基本な事が記述してあるが、
「パンが好きでより詳しく知りたい!」または「パンに興味がある!」
と言う人にはうってつけの入門書だと思う。
内容には
・パンの歴史
・各国におけるパンの種類
・パンの基本材料について(粉、塩、水)
・パンのレシピ
など基本はしっかり押さえてあり、パンを最初に学ぶ上では分かり易くて良い。
さらに値段も手ごろ(『BREAD』は4千円以上!)なこともあり、
敷居はかなり低く、またがなくて歩いても飛び越えれそうなほど。
基本となるパンのレシピも充実し、サンドウィッチなどのパンレシピもそこそこ充実。
また所々にパン小話があり、
例えばこれ。
フランスのブーランジェリーの売れ筋はやはりバゲット。一日に千本以上売れる店も多い。客の好みもさまざまで、特にこだわるのが焼き加減。
(中略)
ある日、一本窯から出し忘れ、誤って二度焼いてしまった店があった。
すっかり焦げてしまったにも関わらず、店の隅に並べることに驚いた。
しかしさらに驚いたことは、本当に初老のムッシューが買っていたこと!
どうやって食べるのかを尋ねると、”カフェオレにたっぷり浸すんだよ。これぐらい焼けてる方がおいしんだ!”とウインク。
この食べ方、実はフランス人が大好きなのだ。
なんと素敵なジジイだろう!カッコ良すぎる!
こういった臨場感ある小話を知れるのも、パン好きには嬉しい。
ただベーグルやライ麦パンなど、本来はリーンなはずのパンレシピにおいて、バターを使用しているのはどうなのかな?とも思ってしまった。
やはり日本ではまだ一般的には、ふわっと柔らかいパンの方が好まれるという事なのかな。
あとパンに使用する水についての解説があるのも良い点。
そして日本の水はフランス等と違って基本は軟水。
軟水であると生地は密になり難く、なのでふっくら仕上がり、それはつまり菓子パンや惣菜パンを好む日本人向けのパンになる。
なので日本独自といえる菓子パン、惣菜パンが昨今のように日本で主流になった要因と一つ、それが日本の水によるものと思うと興味深い。
材料のみならず、環境によっても大きく左右される食物、それがパン。
やはりパンは奥が深いな、と思わずにはいられない。
パン好き、もしくはこれからパンを好きになろうとしている方には、買って損はない一冊だと思う。
そんな本。