ベントラーベントラー
「ベントラ」。米のジョージ・ヴァン・タッセルが「宇宙語で”宇宙船”を意味する語」と主張し、それが日本に広まった、とされている。
のっけのタイトルからSF臭ぷんぷんのこの作品。
内容としては、ごく普通、一般的な社会に外星人が出現。
その対応をするのが民営の”外星生物警備課”。
宇宙人と対決!などのようなハードさはなく、そこらに猫が佇む平和な世界。
そんな中で外星人の落し物などを取り扱うのが、主人公属する”外星生物警備課”。
ゆる~い世界観、というよりは、現実日本のような平和的環境、といった方が適切かもしれない。危機意識薄い現実の世界とリンクして感じるその世界観は、フィクションながら「どっかに居るかも‥」と思わせる妙なリアル感。
それは、この漫画の世界と現実世界共通の、空気感にあると思う。
塀の上で猫が寝る。あっ危ない!あそこに蛇!ああ、外星人さんこんにちわ。
そんな世界観。
しかし根本のSF要素はミックスチャーのように錬り込まれ、ブレードランナーから名前を拝借したり、多世界存在させたり、やりたい放題。
もちろんそれは最高という意味で、SF好きには、その設定も、名前のチョイスにも、ゾクゾクさせられる!
内容としては、基本1話完結型。
小刻みよくテンポ良い話で構成され、様々なSFネタが組みこまれており、まるでSFオムニバスを読んでいるようで飽きが来ない。
普通に「面白いよ!」とヒトに紹介できる作品で、マスコット的宇宙人クタム君とのやりとりは、実にいい塩梅を演出。
巷での評判の良さを容易に理解できる、そんな作品。
そして宇宙人目線の話があるのは、元来人間が持っている価値観を離れさせてくれるので良い。
全三巻ながらも読み応えあり、描き切った感のある終わり方。
手軽に読めるライト内容ながらも、じっくり読めばディープさも味わえる。SF好きにや宇宙人好きには、とってもお勧めできる漫画作品!