4月に読んだ本からおすすめ10冊を紹介。
4月に読み終えた本は32冊。
その中からおすすめの10冊を紹介!
第10位
『癒しのユーモア―いのちの輝きを支えるケア』
笑いは治癒に適している。
そうしたテーマを根幹に、ユーモアがもたらす生命力を語る内容。
面白い川柳紹介の一冊としても秀逸な内容で、思わず笑ってしまった川柳も多かった。
そうして川柳はいくつも紹介されており、個人的に好きだったのもとしては、
「妻」の字が 「毒」に見えたら 倦怠期
や、
厚化粧 蝿はとまるが 蚊は刺さぬ
などは思わず笑った。
カラ出張 ホントに行けば もっと無駄
これは皮肉が効いていて好き。
なかには感心してしまう川柳もあって、
反抗期 子を持つ親の 成長期
これなどは読んでハッとした。
そして川柳の意義と意味についての解説もあり、川柳とは憤りや悲しみの転化であるという主張は共感し易い。
後は大学教授のデーケン先生との対談も収録されており、そのやり取りが個人的には印象的。デーケン先生曰く、
「ユーモアとは、”にもかかわらず”笑うこと」
ということで、不遇や不運を当人を含めて笑うことの大切さを説いていた。
そしてデーケン先生が語る、外国人による日本語間違いネタは面白く、デパートに行って「魔法瓶をください」と言おうとして「未亡人をください」といったエピソードには笑う。
あと外国人には「礼拝」の発音は難しいらしく、「私は宣教師ですから、日曜日には毎日レンアイをしにいきます」と言っていた方がいるらしい。
ユーモアとは「にも関わらず笑う」精神を具体化したものであり、デーケン先生は「ユーモアは愛の現実的表現である」と捉える。
本書はユーモアの本質について触れ、思わず微笑んでしまうような一冊。
第9位
『ゴシックハート』
ゴシックとはよく耳にしたことはあるものの「それって何?」と言えるほどにはその本質について理解していなかったので、入門書として最適だったと思える一冊。
すると「耽美主義」やら「グノーシス主義」についても追随して学べ、それら概念の解説のために各種さまざまな漫画などの作品を紹介しているのも特徴的。
するとゴシックとは一見して退行主義的にも思えようが実際には違い、寧ろ脱構築的なものなのだと。
それは「両性器具」についての説明の項でより感じ、そこでは性とは古来、人の分裂性から生じたものと語られていたのはもとより、性としての制限を開放する思考こそがゴシックの一端であるという主張はなかなか特質な意見に感じそして面白い。それは昨今のフェミニストとも一線を画し、寧ろ性の肯定にさえ思えた。故にそこでは性による差別を否定するのではなく、両義性としての可能性を広げているようにも。
読んでいて何よりハッとしたのは、本書では人間に潜む残虐性を浮かび上がらせるような、それも肯定的にも見せる趣がある点であり、誰しもがひそかに抱くそうした概念に対する形容を読者に、己に自己の事として容認させてくれる点にある。
あと印象的なのはページを割かず簡潔に示したエヴァ考察であり、あの本質は自己の主体性を持たぬ(それを非キリスト教国として対比させていたのも興味深い)日本人としての特性、その若者の姿勢を描いたのだという指摘は尤もで、そうした無主体の少年が急に力を得るとどうなるのか?を具体的に描いた作品であり、このヒットはそうした日本人の性質を顕著に表していたため、というのには深く納得。
日本人がなぜ少年少女の無垢な美しさに惹きつけられ憧れるのか?その理由もまた明快に解説していて、曰く日本人は主体性を持とうとせず客体性に憧れ、そこで無垢としての究極的な客体さを表すものが少年少女あるから、というのは構造的にも同意し易く、昨今のアニメに若年層の主人公が多くそれを大人が観賞するという構図は、こうした意識体系によるものであるのかなんて思う。
紹介されていたサドの小説なども残虐性が極まっていて印象に残り、『鼠の責め苦』なんかはもうその残虐性に驚愕。この責め苦についての解説は寧ろぶっ飛んでおり凄いなと思うほど。しかし一見して変態的に思える行動や情念はまた、実は形式美としての耽美さがあり、究極的な美を求めようとする意思の突出性が見て隠れしているのだと。
グロテスクな作品は人を引かせるが、同時に酷く惹きつける。
人の内に潜む美しさを垣間見たいのであれば、お勧めの一冊。
第8位
『死後の世界』
- 作者: フランソワグレゴワール,Francois Gregoire,渡辺照宏
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1992/08/01
- メディア: 新書
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死ぬってどうなるの?
これほど単純かつ難解な用語を用いることなく、答えに窮する問いは稀有。
だからこそ魅力的な問いでもあって、その魅力を拾い上げてまとめたのが本書の概要といえる。
本書では 文化的、宗教的、哲学的な観点から「死」についてを考察。
本書は新書スタイルなので分厚いという事もなく、故に簡素かつ簡潔かと思いきや、読んでみると意外や意外、得る着想は多くハッとしたり、または「へえ!」と感嘆に唸ることも多々あって読み応えありそして楽しめた印象。
そうした多面的にも楽しめたのはおそらく、それが文化的もしくは習慣としてみられる「死」に対する儀式、形容の仕方に深く納得できたからであり、「死」という普遍的かつ不変的不明瞭な存在に対する共通理解として共感できたからと思う。
いわば、「死」とは人種や文化を超えたコミュニケーションツールなのだ。
文化によって食べるものは違う。
しゃべる言葉も違う。棲む世界も、環境も、娯楽も、教育も。
だが、そんな折でも「死」は絶対的なものとして存在しており誰しもがそれを抱いているのだから。
彼らはビートルズを知らずとも死は知っている。
ドラゴンボールを読んだことがなくとも死は知っている。
「死」とは不可知なものであると同時に、それは絶対知(それを文化、環境に依存せず誰しもが知り得るという意味おいて)という、どこか妙に矛盾した体系を持つ存在であり、よって本書において眺めることのできる各種に「死」に対する読み方もまた、それに対して深く共感することができる。
「死」とは、それがツールとしての意味、役割があるというのはもとより、それ自体がより「人間」を「人間」たらしめるのだと思えば感慨深くなる。
死に対する捉え方とは多種多様にありながら。
それを知ることによって得るのは、「死」に対する向き合い方というよりはむしろ、「生」に対する向き合い方!
それは「メメント・モリ」に代表されるような、「死は常に身近にある」だから精一杯生きよう!というものではなく、「死」それ自体の存在に対する穿った見方(習慣や儀式に見られる倒錯的さからの非合理性そのものが「死」を象徴するとして)を学ぶことはすなわち「死」を恐れるものではない、視野の転換をもたらしてくれるようなパラダイムさがある。それはファルマコンのような薬・毒性であり、死の上手な扱い方。
私たちは未知のものこそ恐れるかもないが、未知だからこそ有意義に扱える方法もあるのだと教えてくれる。
そんな有意義な本。おすすめ。
第7位
『純然たる幸福』
『眼球譚』でお馴染みバタイユによるエッセイ的かつ様々な考察を載せた一冊。
そこでのスペイン人における自由と軋轢に対しての謳歌はもとより、特に心に残ったのは実利的でない文化についての考察。
そこでのピラミッドを例に提言する実利的でない文化の意味とは。
バタイユは、実利的ではないことにこそ意味があり、その意味こそ死に対する挑戦、との意見がとても印象的かつ腑に落ち、感慨深くなる。
すると文化的素地的な、娯楽その他にして「生きる上」では決して必然でないものの存在理由が明確となって明らかに。
それこそ、
映画やアニメなど「そんなのを見て何になる?」
ゲームに対し「ゲームなんて時間の無駄」
なんていう批判に対しての、一つの明確な反論理由足り得る意見であると思う。
そのための言い回しである「死への挑戦」といった表現も好きで、文化としてのこうした非実利的なものが廃れない理由がよく分かり、それは挑戦であり、必然なのだと。
確かにピラミッドとは決して実利的ではなく、寧ろ無駄ともいえるもの。
しかしそうした無駄な労働を呈してまで作ることにこそ意味がある。
無駄な労働!
これこそ現代では嫌悪されそうな表現でありながら、実質的なその重要性は人間精神における実利性!をもたらすものであり植物における水と太陽のように必須のものであるのだと。
本書ではそうした部分に感銘を受けたのでここに紹介。
そして後半には、ヘーゲルの哲学考察がメイン。
そこでの意外さは、バタイユもまたヘーゲル哲学の難解さを主張していること。
そして忌みの含有についてなどを考察。
また表題「純然たる幸福」ではその存在した概念の虚無を語り、無表象的なものであると主張する等。
あと最後には死に対する考察では、死に対する考察の無力さと、それ自体を俯瞰的にも笑う姿勢がなかなか印象的。そこでのユーモラスさとはつまり、考察における不可能性にあるのではなく死という体系に対する非実利的なことを実利的な頭脳で描こうとする矛盾さにあるのではと思う。
第6位
『戦争と教育―四つの戦後と三つの戦前』
戦争と教育―四つの戦後と三つの戦前 (岩波セミナーブックス (66))
- 作者: 山住正己
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/11/26
- メディア: ペーパーバック
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当時における日本のイデオロギー性について、その実際を学べることが出来る一冊。
簡潔に言って、なるほど日本は戦時中においてはなかなか軍事統制としての規制や、教育においてもそうした実施が実際にあったのだなと昨今においても存在する規制国家における「それに比べて日本は自由だな」なんていう意見を翻して考えさせられるきっかけとなる内容。
それはもちろん、現代においても尚、と言った意味においても。
対岸の火事は、見えている分だけ被害はわかりやすい。
しかし現代の現状、誰しも炎上には敏感であろうとも、煙の上がらぬ火事には気づき難いものだから。
よって自省的な意味においても読む価値はあるのではと感じた本書。
他には、示されていたエピソードがなかなか強烈で印象的。
それは、当事者同士の意識の違いについて。
アメリカにある空軍博物館には、長崎に原爆を落とした爆撃機が展示してあるそうだ。
そこでは爆撃機と共に、長崎へと原爆を落とした映像が流されているという。
注目すべきは「見学に来ていた小学生たちがその映像を見て拍手をしていた」という実際の目撃談であり、これほど立場の違いによって見方が変わる例も稀有であると思う。
あとは福沢諭吉の「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」とするこの言葉は「勉学の大切さ」を解くものであり、あとには
「その違いとは、学ぶと学ばざるかによるものだけである」
との意見。
これは現代にも通じる意見、なんていえばそれこそ誤りであり、何故なら現代に限った話ではないからだ。こうした意識体系の意見こそ、それが意識そのものの動きを語っているからこそ普遍なのであって、それは入れ物の中身ではなく入れ物それ自体に対する箴言なのだから。
第5位
『壁』
安部公房の小説。
これだけでも通じる人は通じる記号性。
それほどには独特な世界観を構成している作家であって、この作品も例外にあらず。
内容として、読んだ感じた簡易な印象としては
「カミュ的だな」
といったもの。まあ、その理不尽さとか。
あと含まれている名詞によってわかるは作品の意図で、登場人物の名前然りであり、こういった点ではずいぶんとわかりやすくユーザーフレンドリー的。
例えばプルドンなど登場して「ああ、シュルレアリスム的なのか」といった具合にも。
そして後半は短編集的な構成なのが印象的かつ特徴的。
その短編集、思いのほか面白い。
とらぬ狸の話では、影を食べられながらもそれを論理的に考えようとする点が当時の現代人らしくて面白く、また改めて読むとこれが「死の物語」であることが黙々と伝わってきた。
「死とは?」死ぬとはどういった状態でどのような経過を辿るのか?を描いた作品であり、「そうした作品性は稀有だな」なんてと思うと同時、試みとして独自の路線を描いており面白いなと。
他には「もしかしてエヴァはこれからもアイデアを?」なんて思える短編も。
それでもやはりバベルの塔のお話が個人的には特に面白かった印象で、そこでの視線恐怖症や薄笑い、にやけ笑いなどまさに日本人的。
そして終わり方は何処かジブリ的。
本書では他に人肉ソーセージ工場「ユートピア」なんてものも登場したり、それを中身さえ提示せねば問題ないとする社会風刺的(むしろ人間それ自体ともいえるかも)さもあってユーモラス。
なかなかシュールかつシュルレアリスム的などと思えながらも、緻密な設定さも覗かせ、按配具合の快い小説群たち。おすすめ。
第4位
『三毛猫の遺伝学』
- 作者: ローラグールド,清水真澄,Laura Gould,古川奈々子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 1997/09
- メディア: 単行本
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内容の面白さはもとより、丁寧な文章がとても好印象な一冊。
内容も猫好きとしてはとても楽しめ知的スリリングさを感じさせる構成。
主に「遺伝学」についてを取り上げ、中盤ぐらいでもう「三毛猫が主にメスなのはなぜ?」という本書のテーマである問題に対する答えを出していて、それは-
この先はぜひとも読んでもらえれば幸いとして、本書の魅力としては
「分かり易さ」
が是が日にも挙げられる特徴であり、おそらく老若男女だれが読んでもわかるその丁寧さが売りといって過言でない。
すると読めばわかる、ああ猫ちゃんの三毛にはそのような仕組みと原理とそして三つ巴感があったのだと。
よって読めば「えっ?それって要はあれのことでしょ?」と遺伝子についての勉強ができてしまっている、なんとも便利な良書。
所々に挟まれる飼い猫エピソードも微笑ましく、遺伝子に興味のある人にはもちろんこと猫好きには特別楽しめる一冊。
おすすめ。
第3位
『恋するソマリア』
以前に読んだ『謎の独立国家ソマリランド』の続編的内容の一冊。
読むと素直に「面白いっっ!」と唸る内容。
またもぐいぐいとソマリアでの一悶着の数々に引きずり込まれて、ほぼノンストップで読んでしまった。
とても分かり易くソマリアの内情がまた窺い知れる構成で、内部と言っても北部のソマリランドと南部では大きく状況が違うのだなと改めて鑑みさせられる。
一方では銃を所持せず暮らし、南部ではその治安の悪さから銃の所持から、銃声さえも日常茶飯事。
さらには互いがそうした現状を知らない、といった現状こそもまた、不思議で面白く思えたり。
本書ではハプニング満載なのも特徴的。
そのうち一つを例に挙げれば、酷い便秘のくだりはユーモラスで爆笑w
他に興味深く思えたのは、現地の女性が作る家庭料理に接していたこと。
これがどれだけ革新的なことかは読んでみればよくわかり、なんとそのレシピまで!
あと内容には政治についても多少含まれており、どこの国のどのような情勢においても似たような政治の状態こそ起こるのだなと思えば社会学的にも人の鋳型を覗くようであって興味深き。
それこそこれもまた対岸の火事ならぬ、身近な問題としても。
あとはネタバレになるので多言はせずとも面白さは確か。
下手な旅行に赴くよりかは、本書での疑似体験のほうが楽しいとさえ思えるのだがすごい本。
第2位
『レナードの朝』
事実であるものはすべて、ある意味では理論である。
現象の裏にある何かを探すことは無駄だ。
なぜなら現象がすなわち理論なのだから。
本書はパーキンソン病ならびに嗜眠性脳炎について、その患者についての事例を多く挙げこうした病状の実際を雄弁に、そして実に人間味あふれる形で情緒的にも描く内容。
そして何より本書の特色としては、投薬によって劇的な症状の改善、それに伴う経過についての描写であり、本書はもちろんノンフィクション。
よって眠り姫が目覚めてハッピーエンド!というような、ことはそう単純なことではなく、副作用その他さまざまな症状が。
しかし当人においても急激な回復の実感と、それにより意思の疎通も会話で行うことが再びできることになったことでの、本人における本人からの嗜眠性脳炎について語られる状態とは本当に一読の価値がある。
それこそ当事者にこそわからず、語り得なかった未知なる領域を、可能性として実際を示す大きな一歩であったことは間違いないのだから!
また本書では嗜眠性脳炎を「カオス」になぞらえて例えたりと、その病状の多様性と掴みどころの難しさを示しており、重要なのは「患者自身と世界との移り変わる関係について考えなければならない」と主張。
つまり本書では神経学的な、機械的アプローチによってのみで、こうした病状を解決しようというのではなく抽象的アプローチ、この両方を用いて考察をする。
すると強固な文章を描きがちな学者肌の場合は難しいのでは?
なんて思われようが著者は『脳のなかの幽霊』でお馴染みのS・ラマチャンドランなので、人間描写の卓越さはお墨付き。
するとスルスルと読ませてくる文章には息遣いさえこもって感じ、彼らが投薬によって劇的に症状が変化し、その変化によって見られた彼らの反応と、眠りから目覚めた彼らの思いとは。
この場合の「眠り」とはまさに複合的な意味合いを持っており、そういった面においても特に読み応えあり。
本書は人生において、一度は読んでおいて 損がない一冊であり世界的名著であると思うのは思い過ごしではなく、読めばわかるであろうこの文章の意味。
お勧めの一冊。というよりは読んでみてほしいとも思える一冊。
第1位
『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』
ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ニールシュービン,Neil Shubin,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 文庫
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うーん。
一言でいって「すごい本」
視野としての裾野が広がること間違いなしの一冊であり、内容としてシンプルが故にその衝撃度も高め。
どんな内容か?と問われれば簡素に言える。
「人は魚から進化した」
とたったこれだけ。
しかしこの一見して自明な意見、それが自明であるのはもちろんとして、
「ではどのように?」
と問われれば答えに窮するのではないかと思う。
本書ではそうした根幹的、構造的部分において、魚と人体の類似性、その特徴を照らし合わせて提示し教えてくれる。
すると見えてくる「ええっ!?魚の骨格って、人と同じなの!?」
という衝撃。
すると見えてくる生物としての構造の類似性から「人間の先祖って魚なんだ…」とDNA検査で実の父親が判明したかのような、赤の他人事ではなく自身にとって実に関係のあることであるのだという事実を目の当たりにする。
胚から発生源についてなども解説あり、本書を読めば「人類みな兄弟!」どころか「人類魚類みな兄弟!」とさえ口走ってしまいそうになる。
さらに読みやすい文章もまた特徴的で、理論的な話ばかりではなく、実際のフィールドワークでの体験談も満載。
文章は臨場感を伴いすぅっと情景が自然と浮かんでくるような文筆の才能も感じさせ、知的好奇心をちくちくぶっさりと刺激されながら読み進められる名著。
価値観の広がりを実感すること間違いなしの本なので、実におすすめの一冊!