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『デュラララ!!』は傑作非日常アニメ!

 

デュラララ!! Blu-ray Disc BOX

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「もうブチ切れたぜ!ぶっ飛ばす!!デッュララララララ(拳のラッシュ)デュラー!!!」

最近、アニメが終了したこの作品。

見始める前は、タイトルだけ見て上記のような少年漫画っぽい熱いバトル作品を想像したが、実際に観てみると全然違った。

誰も「デュララララ!!」なんて叫ばないし熱い拳のラッシュもしない。 

 

此処で自分の勝手な想像を覆される。一度目。

 

実際のストーリーは

東京・池袋。
都会の非日常に憧れる少年・竜ヶ峰帝人(りゅうがみねみかど)は、幼馴染の紀田正臣(きだまさおみ)の誘いもあり、地元を離れて池袋にある来良学園に入学することに。正臣曰く、池袋に住む上で敵に回してはいけない存在が何人かいるらしい。特には、喧嘩上等のチンピラ・平和島静雄(へいわじましずお)と、趣味で情報屋を営む 折原臨也(おりはらいざや)の二人。そして、奇妙な組織体系を取る詳細不明のカラーギャング“ ダラーズ”。上京した初日、そんな正臣の話に不安をおぼえた帝人が目撃したのは、漆黒のバイクを駆る都市伝説“ 首なしライダー” だった・・・・・・。

 首なしライダー?都市伝説?

じゃあ銀狼怪奇ファイル*1みたいな感じなのかな?

そう思ってみていると、全然違う。全く違う。

此処でまた自分の想像を覆される。二度目。

 

本作に出てくる首なしライダーはトリックではなく、本当に首のないライダーであり、首のない存在。

舞台は池袋。そして主人公は特殊能力があるわけでもない、至って普通の高校生。

だからこそ超常現象ものでない話と思っていたが、全く違う。

その首なしライダー、というか妖怪だ。出演している声優さんからして本当は”怪異”と呼びたいところだけど。

とにかく、この首なしライダーを軸に物語は展開していく。

その流れは、SFだったり友情物語だったり親子の愛だったり果ては異形の愛だったりと、実に多種多様。

そのため登場人物多いのが特徴的な作品で、最初は誰こいつ?となる事が多いが、各キャラクターがナレーションを勤めその際に心情を披露する事により、内面や性格はわかり易く、そして感情移入もし易くなっている。

 

作品自体の話の長さも印象的で、第2期までやり全話ではなんと61話!

話は倒置法のような表現が多く、ある事が起こり、巻き戻していく演出が目立つ。

これがこの作品の魅力であり特徴!というわけではないが、登場人物が多いことでのややこしさと相まって内容理解の困難さ助長に一役買っているのは間違いない。

けれどこれは各キャラクターの設定や叙情が把握でき始めると途端に面白くなる。

 

登場人物が多いとややこしくなるという欠点があるものの、かといって登場人物を制限するとやれることは限られ、意外性がなくなる。

このジレンマは強烈で、特に最近では分かり易さを重視する傾向が強いのか、主要な登場人物が少ない作品が多い。

こうなると話し自体は理解し易くなるが、色々な意味で分かり易くなってしまうのが最大の欠点。サスペンスなどではその影響は顕著で、主要な登場人物は限られているので、必然的に犯人はその少数の誰かになってしまう。つまりは犯人予想が安易であり、意外性に乏しく驚きが生じない。

仮に、これがサスペンスでなくても登場人物が少ないと同様のことが起こり、あの子の親は実は‥なんて展開も、登場人物が限られているんで容易に予想できサプライズ感は微小。例え「まさかの人物が!!」みたいな煽りがあっても、登場人物は限られている。冷静に考えればすぐに見当がつき「ああ、そうかい、そうだと思ったよ」という展開が繰り返される。つまりは箱庭ゲームになってしまっているのだ。尤も、中には「実は作者が犯人でした~!」なんて突拍子もない悪手を出すこともあるが、それはそれで大いに萎える。

 

そんな折、登場人物が多いという作品の魅力、それは意外性が生まれることだ!

”登場人物が多いと各人物を把握し難い”。

この難題さえクリアすれば、その後には果てしない展開を構築できる。

それは日常の中の非日常を描くには必須条件で、”一般人が多数いる日常”がなければ相反する”非日常”は存在しないわけで、この作品は見事に日常部分を作り、またそれに合せて非日常も構築している。

主人公の竜ヶ峰帝人がごく一般人なのもこれが特徴であり、作品へのコントラストを出すために一役買っている。活動手段がチャットや掲示板など現代のネット環境を活用するという手段もリアルであり生活に日常感を演出する。

 

 

しかしそんな調子で観続けると、突然「誰だこのキャラ!?」と知らない人物が出てきたりする。

そこで主要人物を限定していた自分の想像を覆される。これで三度目。

つまりはこのアニメ、ごく自然に見知らぬ人物や小道具がヒョイ、と何気ない顔して突然登場したりする。当然、困惑するがそれがこの作品の手法であり醍醐味。

本来なら、ある程度の登場人物を出したら、それ以降はそれらキャラクターにスポットを当てるが、これはお構いなし。他の者をスッと出演させ、さらに複雑さを増すよう演出する。まさに掟破りであり、”非日常”のみでは満足せず”非常識”までをも持ち込む作品。

 

さらには登場人物の非日常化は進んでいき、最後の方ではもはや一般人とミュータントくらいの差が出てくる。お前らベンジャーズかよと突っ込みたくなるほど非日常。

その中で日常的なキャラが活躍するのは注目に値し、さらにそれらアベンジャーズな奴を知力を駆使して利用しようとするのは孔明の如くであり、操ろうとする者と操られようとされまいとする者との見えない駆け引きは魅力的であり面白い。

 

あと個性が強くて好き嫌い分かれるであろう人物が多いのも見所であり魅力の一つ。

特に折原臨也という人物は我が強く、「まさに中二病!」とさえ思えるほどの言動と行動力は鮮やかであり同時に色々な意味で痛々しい。そこに知力も加わると「好き放題できるんだな!」と感じさせてくれる、魅力溢れる人物だ。

尤も、その声を聞いて首なしライダーや化け物クラスの人間と対等に渡り合う姿を見ると「さすが怪異の専門家!」と思わずには居られないけど。

 

この作品には、何度も持っていた想像を覆された。

そして”日常”を描こうと見せかけて実際には日常を描く気が全然ない”非日常”な作品であり、同時に”非常識”な作品でもある。

もちろん、これは最高の褒め言葉なのだけれど。

*1:昔日テレで放送していたドラマ。首なしライダー出てくる。