book and bread mania

-中途半端なサウスポーによる日々読んだ本の記録 + 雑記 + パンについて-

9月に読んだ本からのおすすめトップ10

9月に読み終えた本は41冊。

その中からおすすめの10冊を紹介!

 

 

第10位

『倫理―大学受験らくらくブック』

倫理―大学受験らくらくブック (新マンガゼミナール)

倫理―大学受験らくらくブック (新マンガゼミナール)

 

 漫画で倫理が学べるとは、どんなものかと手に取ってみた本書。 

漫画ながらも想像以上に濃い内容で、一読のみではその全てを一度に把握しきれなかったほどには濃厚。寧ろ詰め込みすぎで、多少読み難く感じたほど。それもある意味では褒め言葉であり、ホッブズとロックの唱えた概念の違いや、キルケゴールが唱えた基本的な概念など有名どころの哲学を知れる内容であり、さらには日本における倫理や儒教についての記述もあって範囲は広く、豊富に学べる。

あと聖徳太子が約48歳でその生涯を終えた等、トリビア的な知識も記してあり、読んでいて楽しめ啓蒙書と言って過言でない内容!

勉強にも復習にもなる良書であり、漫画ならではのとっつき易さと読み易さがあるので、お勧めしやすい勉強本。”大学受験”とタイトルに付くものの、もっと幅広く受け入れらる価値は十二分にある本!

 

  

第9位

ダンジョン飯

ダンジョン飯 - book and bread mania

記事としても書いた、とても丁寧な出来の傑作!

 

 

第8位

『日本SFの世界 』

日本SFの世界 (1977年)

日本SFの世界 (1977年)

 

 1977年に発売の少し古い本。内容はSFのオムニバスで、当時のSF先駆者による作品集。内容としては千差万別。

どれもしっかりと孤立したSF作品で、なかなか読み応えがあった。

星新一好きなので氏の作品を特に注目。期待して読むとその内容はナイフによって出来る窓からの風景を楽しむというSF作品。ドラえもんの秘密道具のような物が登場する話で、ハッとするほどでないものの丁寧な作りで、さすがショートショートの名手!というような奇抜なアイデアであり楽しめた。

他に印象的だった作品は、石原藤夫氏による『解けない方程式』。

なかなか痛々しい話であり、緻密な模写はその痛々しさをリアルに感じさせ、脳裏へ浮かばせる光景には冷や汗をかかせるほどで真に迫る勢いがあり圧倒される心地に。

筒井康孝の『ブルドック』などは相変わらずのブラックユーモア節で、ふとしたことから犬の考えが読めるようになった男の話。その中で、

 だいたい彼らが人間と仲がいいのは言葉が通じないためであって、もし両者に言葉が介入したら、彼らの無神経な粗暴さや、むき出しの欲望にぶつかってどんな我慢強い人でも嫌気がさすに違いない。

等と言うのだから、その皮肉っぷりは容赦ない。至極、名言だと思う。

 

ほかには、半村良の『ジンクス』や福島正実の『分荼離迦』も印象的で、『ジンクス』などでは昨今で流行と言えるほど蔓延する概念“多世界論”を作中に持ち込んだ前衛的な作品。この作品が70年代ものと思うと、その着眼念の鋭さには驚かされる。そして『分荼離迦』では、昨今におけるところのVRをモチーフにしたかのような作品であり、これまたその発想の鋭さと未来を見据える力に驚嘆させられる。

 

あと、最後にあった山田好夫による『地球エゴイズム』は、読む前にこれが第一回SFコンテストの佳作と知り、故に期待しての読書。するとその内容はハードSFさながらに作り込まれており、最後には見事などんでん返し。佳作であるのも納得の出来栄えであり古臭さを感じさせない良作。

 

こうして全体を振り返るとどれもが佳作揃いに思え、なかなか良いSF作品集!

あと個人的には『ムーン・バギー』もそのタイトルの響き同様、勢いあり流体美しいその文体も相まって、なかなか良いと思える作品だった。

 

 ちょうど生島治郎氏の「ゆたかな眠りを」読み終えた後に、

blog.livedoor.jp

 上記のようなスレを見かけたのにはシンクロニティを感じ得ずには居られず終い。

 

 

第7位

『笑いの新大陸―アメリカ・ユーモア文学傑作選』

笑いの新大陸―アメリカ・ユーモア文学傑作選 (白水Uブックス)

笑いの新大陸―アメリカ・ユーモア文学傑作選 (白水Uブックス)

 

 ユーモア文学、ということで期待して購入した本書。

個人的感想としては、良し悪しの落差が大きかった印象。

そんな中でも、リング・ラードナーによる嘘つき男の話「アリバイ・アイク」は最高に面白く、思わず爆笑w そして締め方も秀逸でほんのりと感動。完成度とても高い作品に思え、楽しめたと同時に感心。良い作品だった。

マーク・トウェインの作品は相変わらず皮肉が効いていてまあまあ楽しめ、芸術に対する風刺的作品。バーナード・マラマッドの「ユダヤ人鳥」もこれまた分かり易い皮肉を表した作品で、動物を用いている辺りからオーウェル動物農場をどこか思わせる作品であった。

あと印象深いのは最後に載っていた、ウディ・アレンによる「ミスター・ビッグ」。これは文句なしに面白かった!哲学をテーマに、神は存在するか?をユーモラスに描いた作品であり、インテリぶる人間にとても受けが良さそうな作品!途中、声を上げて笑ったほどで、なかなか面白かった。

メルヴィルによる『コケコッコー!』も熱量ある佳作!独特といえる言い回しと比喩、表現。読み進めていくと面白さが滲み出てくるような作品であり、楽しめた。そして、雄鶏の鳴き声ひとつでここまでの話がかけることにも感心し、素直に凄い作家さんだなと思わずには居られなくなる!

あとブルース・ジェイ・フリードマンの『ビッグ・シックス』も面白い!予想に反してSFであり、それもタイムリープもの!過去にいってモヤモヤした過去をやり直すということをユーモラスに描き、終わり方もシンプルながらまとまりあり、ある意味では綺麗な終わり方。そうして思い返すと佳作揃いで、なかなか楽しめた。なので良い短編作品集だと思う。

 

 

第6位

『現代倫理学入門』

現代倫理学入門 (講談社学術文庫)

現代倫理学入門 (講談社学術文庫)

 

 本書は、マイケル・サンデルの『これから正義の話をしよう』のような内容で、倫理的問題を提起し、その解決案を哲学に求めるもの。そして本書も同様に、ベンサム功利主義についての視察が多く登場し、中でもミルの”豚とソクラテス”の思想がそのユーモラスな名前と共に印象的。しかしこれを読みベンサムの”功利主義”についてより深く知れ、それが単に快楽追求型の思想というのを知れば確かにミルのように反論したくなるのは尤もと思える。

「快楽の追求が結果的に全体の功利主義に繋がり善意にもなる」というのはいささか楽観的であり、無理があるように思え故にカントが反対したのにも納得で、善意が快楽と密接するのではなく、あくまで行為や思考が快楽に繋がるのであり、善は形式によって定まる、というカントの主張にも共感ができる。あとは人間元来は崇高さを追い求め、教養が高まればそこにこそ真の善も快楽もある、とするミルの主張にも少々同意。

あとはヒュームによる”自然主義的誤謬”はかなり印象深く、そこで「である」と「であるべきだ」の違いについて解説しており、前記が事実認証に対して後記は価値証明に過ぎず、よって「男であるから、男らしくあるべきだ」と言うのは哲学的にはおかしいのだと知る。つまり証明に「である」と綴りながらも「であるできだ」と表するとそれは全く別の事を指していることになり、ヒュームによる指摘の意味も理解できた。

他には場所や時代によって価値観が変わることを示した地理的相対主義や歴史的相対主義という概念が印象的。最後には科学進歩と技術に対する是非を問い、暴走するが如く邁進する科学に対し警告をするような内容。そして全体的にはベンサム功利主義についての引用や比較が多く、功利主義の欠点を指摘する箇所も多く感じた。総評としては、簡易的に綴られた内容であり、万人向けを意識しているのを存分に感じた。それでも示唆に富み、一般的とされている事象へ改めて問う場を提供してくれる内容でありとても良い頭の体操にもなる。なかなか良い一冊だった。

 

 

第5位

『哲学入門』

新訳哲学入門 (現代教養文庫 50)

新訳哲学入門 (現代教養文庫 50)

 

 上記の少し古い版を読んだので、その感想。

最終章、哲学自体の存在性を説く内容が特に印象的!

「人は肉体に食物を用意することは心得ているが、心に食物を用意することは忘れている」といった言葉や「哲学は狭い希望や定義の呪縛から開放する」といった言葉が特に印象には残り、哲学が人の思考の限界を広げ何事も公平に扱うことにより宇宙市民の一人として招く糧になるというのは詩的であり真理的。

哲学の存在理由を理解できる本であり、故にタイトルに偽りなし。確かに、哲学とは科学と違い、懐疑的なもので実際的な有効性を万人には見せない。それでも、こうして現代にまだ残ってることこそがその存在価値の証明でもあり、人の意思の自由化を促す媒体。哲学の重要性とその可能性を知れる本書。やはり読む価値は十分にあった!

 

 

弟4位

『なぜ、あの人がリーダーなのか?―科学的リーダーシップ論』

なぜ、あの人がリーダーなのか?―科学的リーダーシップ論

なぜ、あの人がリーダーなのか?―科学的リーダーシップ論

 

 何故、糞みたいなリーダー(上司)がうちには居るのだ?

そういった疑問も科学的に証明してくれる本書は、そもそも良いリーダーとは?選考基準とは?等を分かりやすく解説。実験に基づく科学的知見ゆえに説得力もあり、ユーモラスに記述されているので楽しめながら含蓄増やせる良書!

なぜ、あの人がリーダーなのか?―科学的リーダーシップ論 - book and bread mania

 

 

第3位

『ぼくらの』

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)

 

 ぼくらの - book and bread mania

良い漫画作品と言うのは、 読み終えた後、心に『何か』を残してくれる作品だ。

この作品は、間違いなくそういう作品だ。

 

 

第2位

ショーペンハウアー (Century Books―人と思想)』

ショーペンハウアー (Century Books―人と思想)
 

 ショーペンハウアー (Century Books―人と思想) - book and bread mania

ショーペンハウアーの基本的な哲学の解説はもとより、伝記部分も注目で、ショーペンハウアーたる偉大な哲学がどのような人生を送ったかを知れる本書はそれだけでも楽しめる!この偉大でユーモラスで辛辣な人物は、どのような生涯を送ったか?簡潔に記述してありながらも、そこから見える人物像によって、当人から得る哲学概念はより深まるはずだ!

 

 

第1位

惑星のさみだれ

惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)

 

記事にした漫画。 

『惑星のさみだれ』は王道ながらも面白い! - book and bread mania

熱い展開、迫力ある戦闘、緻密なストーリーと揃いに揃った佳作!

 お勧め!