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book and bread mania

-日々読んだ本の書評 + メモ集 + パンについて-

秒速5センチメートル

 

秒速5センチメートル [Blu-ray]

秒速5センチメートル [Blu-ray]

 

 abema.tvにて放送があったので、久々に視聴。おそらく、3度目ぐらい。

昔から「良薬口に苦し」なんて言うけれど、この作品はまさに劇薬で”取り扱い注意!”と表記あってもおかしくないほど。それほどに、情動は揺さぶられ、観るだけで躁鬱感情を繰り返し起伏するような内容。

 

この作品を観て、感慨深い情念や溢れるような切なさを感じるのは、

それこそユングが提唱した集合的無意識、そこでは神話に共通点が見られたと言うが、

それと同様に人間の意識の無意識層には共通的な感受性、同じセンサーがあるように思え、故に、こうした作品では万人が切ない思いに駆られ、俗に言う”胸を締め付けられる”ような感覚に捉えられるのではないかと思う。

同じ感覚領域の意識をくすぐられるから、”切ない”と感じ、こうした物語には”キュンキュン”する。

 

あとこの”キュンキュン”という言葉から受ける感情を、この言葉の表現で理解できたのとだとすれば、それこそ”共感覚”であり、たとえ言葉に色や匂いを感じずとも、ヒトには元来、広く備わる”共感覚”性があるのだと思う。

 

そして、こうした共通意識が形成されているのは群れ社会、文化的要因の可能性も当然あって、人間における他者からの影響の受容性、それに大きく関与してるのは、ミラーニューロンの役割が大きいと感じる。

「あっ、あの人物は泣いているから、今は悲しく切ない場面なんだな」と、登場人物を通して感情を輸入、その後に感情移入できる器用さこそが人間であり、他の生物に比べて秀でた物まね力を得ているのが人間の強みかと。

まさに『郷に入れば郷に従えとは』

もしくは『ローマに行けばローマに従え』。 

 

とにかく、この秒速5センチメートル という作品、

”切なさ”を司る普遍的な意識層を狙い打ちしたような作品で、

視聴して得る感傷具合はまるで、

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”切ない”という情動を記憶した脳の箇所を、このように針でチクチク刺されている気分になる!

 

あと物語のラスト、これをハッピーエンドと捉えるか、バッドエンドと思うかは千差万別で、そこにこそ、この作品の真意があると思う。